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サブリースとは?仕組みや特徴、サブリース新法について徹底解説

アパートをはじめとした賃貸物件の管理方法には、主に「自主管理」「管理委託」「サブリース」の3つの形態があります。

その中でも、サブリースは最も手間がかからない管理方式といわれています。一方で、デメリットもあるため、どの管理形態を選ぶかはオーナーがしっかりと判断しなければなりません。

今回は、サブリースを検討している賃貸オーナーの方に向けて、サブリースの基本的な仕組みや特徴、一般的な管理委託との違いや注意点もご紹介します。

サブリースとは

サブリースの仕組みや特徴

サブリースとはそもそもどういった契約なのか、その仕組みや自主管理・管理委託との違いについて理解しましょう。

サブリースの仕組み

サブリースは、オーナーが保有するアパートやマンションなどの不動産を不動産会社が又貸し(転貸)する形態のことです。

物件のオーナーと不動産会社はマスターリース契約と呼ばれる賃貸借契約を締結し、不動産を借り上げます。不動産会社は一戸ごとに入居者を募り、サブリース契約と呼ばれる転貸借契約を締結し、又貸しします。現在では、この仕組み全体でサブリース(契約)と呼称しています。

サブリースのメリットは、手間がかからない点と収入見込みが立てやすい点です。

オーナーの契約相手は不動産会社1社のため、入居者が替わるたびに面倒な契約手続きなどは必要ありません。

また、空室や滞納があっても満室時の約80~90%が最低家賃保証として、オーナーに支払われるため、ほかの管理形態より将来の収入見込みを立てやすくなります。

自主管理や管理委託との違い

サブリース以外の管理形態として、「自主管理」や「管理委託」があります。

賃貸物件の管理業務には、入居者からの家賃回収や契約更新、退去の手続き、共用部の清掃、各種トラブルの対応などがあります。なお、入居者の募集や契約締結は不動産仲介会社に仲介を依頼することができるため割愛します。

自主管理は、物件のオーナーがこれらの業務を自ら行う管理形態です。不動産管理会社への管理手数料がかからない分、オーナーの手取り収入を増やすことができますが、手間がかかるため大家業だけをする専業とするオーナーに向いた形態です。

一方、これらの管理業務のすべてや一部を不動産管理会社に委託するのが管理委託です。手数料は家賃収入の5%が相場です。オーナーは入退去やトラブル発生時に判断を下す必要はあるものの、会社員などの本業と兼業することも十分可能な管理形態です。

サブリースの種類

サブリースでオーナーが収受できる賃料には、「固定型」と「実績連動型」の2種類の条件があります。

固定型

固定型は、入居者から不動産会社へ支払われる賃料に変動が生じた場合でも、オーナーに支払われる賃料は変わらない形態です。

契約更新時までの賃料収入が見込みやすいメリットがある一方、好景気に家賃値上げの利益は受けられないデメリットがあります。

実績連動型

実績連動型は、入居者から不動産会社へ支払われる賃料に連動して、オーナーに支払われる賃料も変動する形態です。

好景気時には、家賃収入が増えるメリットがある一方、物件の空室が増えてしまうと賃料収入が減少するリスクがあります。

実際のところ、契約更新時に空室率が高いようであれば、固定型であっても不動産会社から賃料値下げの交渉を受けてしまいます。

固定型を選んだからといって賃料減のリスクから逃れられる訳ではありませんが、自らの物件の競争力や今後の経済先行きを見通し、最適なものを選びましょう。

サブリース契約ができるもの

サブリースはアパートやマンションなどの賃貸物件を一括で借り上げるのが一般的ですが、それ以外にも工場や倉庫、車両、資材置き場などのサブリースもあります。

これらの物件では、アパートやマンション経営とは異なる運営管理の知識が求められます。

サブリースであれば、ノウハウや実績の豊富な専門の管理会社に管理を任せることができます。

 

サブリースにはリスクがあるといわれる理由

サブリースの問題点

メリットもあるサブリース契約ですが、リスクや説明不足によるトラブルが多数発生しているのも事実です。

国土交通省による「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査結果」では、サブリース契約に関するトラブルで対応が困難なものとして、以下が上位に挙げられています。

  1.  業者から契約期間中に大幅な家賃減額等の予期せぬ条件変更を求められた(33.7%)
  2.  借主間・近隣住民との間の苦情対応(28.9%)
  3.  退去時の原状回復の箇所や費用負担に係る家主・借主との協議(26%)

こういった背景からサブリース新法(賃貸住宅の管理業務などの適正間に関する法律)が策定され、業界是正に動いています。

サブリースの問題点とは

では、サブリース契約において問題視されたポイントとはどういったものなのでしょうか。サブリースにおけるデメリットもきちんと理解し、最適な管理方法を自身でも判断できるようにしましょう。

管理会社が介在することで収益性が下がる

サブリースは、ほかの契約と比較して、オーナーの手元に残る収入が低い契約形態といわれています。

不動産管理会社がオーナーに支払う家賃の保証率は80~90%が相場です。

入居者から支払われる家賃収入を100%とした場合、オーナーの取り分は自主管理で100%、管理委託で95%、サブリースで80~90%です。ここからさまざまな費用を差し引いた残りが、最終的なオーナーの利益です。

しかし、サブリースの場合は満室時の家賃収入を100%として想定しています。自主管理や管理委託の場合、そもそもの家賃収入が空室によって減るおそれがあるため、一概に比較することはできません。

自身の物件の競争力を正確に判断し、サブリースにすべきか判断しましょう。

一定期間ごとに賃料改定をされる

不動産会社とオーナーとのマスターリース契約では家賃改定日というのが定められており、一定期間ごとに保証家賃の改定が行われる可能性があります。

上述した国土交通省のアンケートにおいても最も多いトラブルとして挙げられており、オーナーは賃料値下げがあることをきちんと理解した上でサブリースを選択する必要があります。

不動産会社が選んだ入居者がトラブルを起こす可能性がある

サブリースの場合、不動産会社が入居者の選定を行うため、オーナーの意に反した入居者が入る可能性があります。

上述のアンケート結果でも2位が「借主間・近隣住民との間の苦情対応」であることから、こういった問題が発生する可能性があることを理解しなければなりません。

免責期間により賃料を貰えない期間がある

マスターリース契約では、不動産会社が客付けを行う期間として、アパート新築後や入居者の退去後数カ月間を、賃料支払いの免責期間として設けていることがあります。

この免責期間の間は、不動産会社の賃料支払い義務は免除されているため、オーナーは入居者が決まっているにも関わらず家賃収入を得ることができない可能性があります。

入れ替え時の空室リスクはサブリースにおいてもオーナー負担となっていることをきちんと理解しておきましょう。

サブリース新法とは?

これまで、サブリース契約を取り扱う管理会社の中には、上述の問題点があるにも関わらず、オーナーに対して良い側面だけを説明しマスターリース契約を締結する会社が少なからず存在していました。そのことから、2020年に「賃貸住宅の管理業務などの適正間に関する法律(通称、サブリース新法)」が制定されました。

サブリース新法では、不動産会社に対して以下の3つを義務付けました。

  •  誇大広告の禁止
  •  不当な勧誘行為の禁止
  •  契約締結前の重要事項説明

重要事項説明において、サブリースに係る重要な契約事項について説明されることとなりました。問題点がなくなった訳ではありませんが、メリットとデメリットの両方を理解し、サブリースを選ぶようにしましょう。

サブリース契約を結ぶ手順とチェックポイント

サブリースは以下のような手順で始めます。

  1. サブリース契約を取り扱っている管理会社に相談する
  2. 不動産会社に現地調査をしてもらい、提案書・見積書を作成してもらう
  3. 重要事項説明を受け、契約書を締結する

その後、不動産会社が入居者の募集を行い、免責期間後に賃料の支払いが開始されます。

では、サブリース契約を結ぶ際に確認しておきたいチェックポイントにはどういったものがあるのでしょうか。

契約内容のチェックポイント

不動産会社とのマスターリース契約次第では、オーナーの取り分が減少してしまうリスクがあります。そのため、以下の内容は確認するようにしましょう。

賃料の設定は適正なのか

不動産会社からの提案書を見て、賃料や家賃保証率が適正な値になっているかを確認しましょう。判断方法としては、周囲の相場や物件の魅力度、エリアの将来的な人口増減を考えます。

ほかの不動産会社からも提案してもらい、妥当性のある数字か確認するのもよいでしょう。

なお、繰り返しになりますが賃料や家賃保証率は、家賃改定日に改定される可能性がある点は忘れないようにしましょう。

敷金・礼金・更新料の取り分はどちらなのか

入居者からの礼金・更新料などの収入は、自主管理や管理委託ではオーナーの取り分ですが、サブリースでは不動産会社の取り分となることがほとんどです。

契約時にどちらの取り分かは必ず確認しましょう。

諸費用の負担はどちらなのか

オーナー負担の費用はどのようなものがあるかを確認しましょう。

入居者を募集する際に発生する広告費や、入居者が退去する際に発生する物件の修理費用など、不動産管理にはさまざまなコストが発生します。

サブリース物件の場合、どちらがそのコストを負担するのかきちんと確認しておきましょう。

また、オーナー負担の場合でも、そのどれも不動産会社に依頼することになりますので、費用目安が相場に合っているか確認しましょう。

賃料見直しの期間(契約期間や更新時期)

サブリースでは家賃改定による収入減少の可能性があります。賃料改定は少ない方がよいですが、何年ごとに行われるか事前に確認しておきましょう。

また、ほかの物件の平均的な賃料改定の実績データがあれば、提示してもらい、相場から安い価格で契約を結んでしまわないように留意しましょう。

免責期間がどの程度あるか

家賃保証の免責期間は少ない方がオーナーにとって喜ばしいです。不動産管理会社が空室を埋めるのに適切な免責期間となっているかは必ず確認しましょう。

なお、株式会社タスが発行した「賃貸住宅市場レポート」によると、主要都市の2021年9月の賃貸物件の空室期間は以下のとおりです。

 

都道府県 空室期間(ヵ月)
東京都 4.21
神奈川県 5.05
埼玉県 5.36
千葉県 4.47
大阪府 5.06
京都府 5.27
兵庫県 5.68
愛知県 5.86
静岡県 8.21
福岡県 5.03

 

もし不動産会社から提示された免責期間が4~5カ月以上となっている場合は、少し長めに設定されていると考えてもよいかもしれません。

サブリースは加瀬倉庫にご相談ください

サブリースはデメリットや注意点も多々あるものの、オーナーの手間がかからず、リスクなく家賃収入を得られる不動産運用の手法です。今後さらなる是正が進み、今よりも使いやすい管理手法になっていくでしょう。

加瀬倉庫では、アパートやマンションといった賃貸物件の他にも、倉庫や工場、土地など幅広い物件でサブリースのサービスを提供しています。

所有している不動産の管理方法や活用方法でお悩みの方は、ぜひ一度加瀬倉庫にご相談ください。

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加瀬グループ編集部
加瀬グループ編集部
加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
当社の豊富な経験や実績をもとに、不動産活用でお悩みのオーナー様に便利でわかりやすい情報をお届けします。

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