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耕作放棄地の活用事例3選!おすすめのビジネスモデルを紹介

耕作放棄地の活用事例3選

日本では現在、農業従事者の減少が深刻な問題となっています。
農林水産省の「農業労働力に関する統計」によると、令和3年の時点での農業従事者は5年前に比べ、20万人以上も減少しています。

減少の理由として、農業従事者の高齢化や後継者不足が挙げられます。農業従事者の7割近くが65歳以上になっている現状があります。

そのため、農業従事者の廃業に伴う耕作放棄地も増えています。
耕作放棄地の増加は食料自給率低下だけではなく、周辺環境や景観などに悪影響を及ぼしてしまいます。

本記事では現状の問題点のほか、その活用事例について紹介します。

 

耕作放棄地の基本知識

まずは、耕作放棄地の基本知識を確認しておきましょう。現状の問題点が分かると、そこから解決の糸口を探ることができます。

耕作放棄地とは

耕作放棄地とは、「以前耕作していた土地で、過去1年以上作物を栽培せず、しかもこの数年の間に再び耕作する意思のない土地」とされています。

この用語は、農林業センサスという、農林業施策の企画・立案・推進のための調査で定義されています。

耕作放棄地の現状

農林水産省が令和2年に発表した「荒廃農地の現状と対策について」によると、耕作放棄地の面積は以下のように推移しています。

耕作放棄地の面積の推移

面積(ha)
1995 24万4,000
2000 34万3,000
2005 38万6,000
2010 39万6,000
2015 42万3,000

 

1995年と2015年で、約18万haもの違いがあることが分かります。つまり、20年間で、東京ドーム約3万8,000個分の広さが耕作放棄地に変わってしまったということです。

耕作放棄地を放置すると?

耕作放棄地となり、農地として維持や管理がされなくなると、土壌の質は悪化し、作物が育つために必要な栄要素が失われてしまいます。
放置されている期間が長くなればなるほど状態悪化が進み、農地に戻すことが難しくなります。

さらに、耕作放棄地は害虫や雑草が発生しやすくなるため、周囲の農地の作物にも被害が及んでしまうおそれがあります。

それ以外にも以下のようなリスクがあります。

  •  野生動物の侵入
  •  洪水や火災時の防災機能の低下

 

耕作放棄地の活用事例

耕作放棄地の増加は、全国的に深刻な問題となっています。そのため、国だけでなく、地方自治体や農業者団体、企業などが耕作放棄地の活用に向けてさまざまな取り組みを行っています。

具体的な活用事例をみてみましょう。

活用事例①再び農地に戻す

耕作放棄地には、労働時間や作業負担が少ない作物を新たに作付けする、という活用方法があります。
作業負担が少ない作物ならば、人手不足の農家でも農地として使い続け、加えて収益も確保できます。

農林水産省「耕作放棄地への導入作物事例」では、各地の活用事例をもとに耕作放棄地への作付けに向く、以下のような作物を紹介しています。

  •  そば
  •  なたね
  •  大豆
  •  山菜類
  •  放牧
  •  茶
  •  果樹
  •  マコモダケ
  •  さつまいも

また、一般の市民などの農業者以外の人たちに、農園として貸し出す活用方法もあります。これは、以下のような用途で使われます。

  •  一般の家庭が田や畑を耕し自家製栽培の野菜を作る
  •  子どもの体験学習

農業と福祉を融合した、農福連携という新しい取り組みもあります。主に体の不自由な方に、就労の機会や働く喜びを得る場を作ることを目的とし、全国の一般社団法人などが行っています。

このように、使われていない農地が耕されることにより、土壌が活性化され、さらには収益化できます。

活用事例②営農しながら活用する

所有する農地で、一部が耕作放棄地になっている農家におすすめなのがソーラーシェアリングという活用方法です。

ソーラーシェアリングとは営農型太陽光発電事業と呼ばれ、農業をしながら、太陽光発電システムで発電事業も行うものです。

発電事業を行う場合は、通常、農地転用が必要です。しかし、平成25年に施行された、一時転用許可により、一時的に利用できるようになりました。

これは、営農を継続しながらの利用許可になるため、さまざまな規則があります。

実際の現場では、営農を継続するために農地に支柱を立てて、上部空間にソーラーパネルを設置して、太陽光発電と農業をシェアしています。

架台の高さは地上から約3mで、幅にも十分なスペースを持たせるため、大型の農業機械も使用可能です。

ソーラーパネルの農作物への太陽光遮光率は約30%以下になるように設計され、農作物の生育に適した日照量を確保しています。

生産実績としては、以下のようなものがあります。

  •  トマトの水耕栽培
  •  メロンの水耕栽培
  •  ブルーベリー養液栽培
  •  キノコの栽培

活用事例③農地転用して活用する

耕作放棄地の活用として、農地転用があります。農地転用とは、農地を活用するために、宅地などに転用することです。

しかし、国の食料自給率に関わるため、すべての農地が宅地に転用できるわけではなく、厳しい審査があります。

市街化区域内にある生産緑地以外の場合は、農業委員会に届け出ることで農地の転用ができます。しかし、市街化区域外の農地については、都道府県知事の許可を得る必要があります。

耕作放棄地であっても、地目が農地であれば農地としての手続きが必要です。

農地転用が認められると、さまざまな活用方法を検討できます。

 

農地転用して活用する、おすすめのビジネスモデル

農地転用後の具体的な活用方法としては、以下のようなものが挙げられます。

  •  ソーラーパネル設置による太陽光発電用地の運営
  •  賃貸アパート・マンションの建築
  •  駐車場や資材置き場など土地として貸出し
  •  高齢者施設の建築
  •  仲介会社に依頼して宅地として、売却

その土地の広さや立地条件、周りの環境などによって向き不向きがあります。

ここでは、特におすすめのビジネスモデルを紹介します。

高齢者施設の建設

農地を宅地に転用して、サービス付高齢者住宅などを建てる活用方法です。

高齢者施設は広いエリアに利用者の募集をかけられるため、必ずしも住宅街の近くにある必要はありません。

むしろ、ある程度の室内の広さと、静かな環境を求める高齢者も多いので、自然が豊かな地方が好ましいこともあります。

そのため、高齢者施設は農地からの転用に向いているといえます。さらに、こういった施設は公共性が高く、地域貢献という意味でもよいでしょう。

資材置き場

資材置き場は、事業用資材を置く場所として土地を貸し出す活用方法です。

建物を建てる必要がないので、市街化調整区域内の農地でも行えます。また、初期投資費用がほとんどかからないのも魅力です。

工場が隣接していることや、大きな国道が近隣にあることなど、交通の便がよい立地に向いています。

駐車場経営

近隣に住宅街があり、一定数以上の人が生活をしているようなエリアの場合、駐車場経営をするのもよいでしょう。

初期費用がほとんどかからず、継続的な収入が見込めます。

しかし、道路に接する間口が極端に狭い土地や、高低差がある土地には向きません。また、建物を建てることで受けられる、固定資産税の優遇処置は受けることができません。

 

耕作放棄地の活用は加瀬グループにお任せください!

耕作放棄地の活用についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。

具体的な活用方法は、その土地の気候や周辺環境、建築制限などによって選択肢が異なります。専門的な知識がないと判断が難しいため、まずは土地の活用に詳しいプロに相談してみましょう。

これまで、何の使い道もないと思われていた耕作放棄地が、社会や地域に貢献できたり、思わぬ収益を生んでくれたりするかもしれません。

加瀬グループでは、豊富な土地の活用実績をもとに、お客様一人ひとりに合った資産活用を提案いたします。おひとりで悩まれている方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

投稿者

加瀬グループ編集部
加瀬グループ編集部
加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
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