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工場跡地は土壌汚染の対策が必要!対策後の活用方法も紹介

工場跡地の土壌汚染対策

工場跡地は、事業の内容によっては有害物質が土壌に流出し、土壌汚染を生じているおそれがあります。

国は土壌汚染に対して「土壌汚染対策法」による規制を設けており、工場跡地を活用するためには、ルールに従って適切な措置をする必要があります。

土壌汚染の具体的な対策や工場跡地の活用について紹介します。

 

工場跡地は土壌汚染のおそれがある

工場跡地における土壌汚染の概要や影響について説明します。

土壌汚染とは?

土壌汚染とは、事業活動による化学物質などの排出が原因で、地面から下の土壌が有害物質に汚染された状態をいいます。事業活動を行う事業所には、各種の工場のほかにガソリンスタンドやクリーニング店などの身近なものもあります。

原因物質は、地盤の表面から浸透するケースだけでなく、排水設備などから漏れ出すケースもあり、汚染されたとしても気づきにくいものです。

主な原因物質には、次のようなものがあります。

  •  トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ベンゼンなどの揮発性有機化合物
  •  鉛、ヒ素、六価クロム、水銀、カドミウムなどの重金属

土壌汚染の影響

土壌が汚染されると、人体や周辺住民の生活環境、生態系への影響があります。

土壌が汚染されると、土壌に含まれる有害物質が川に流れ出し、やがて海へ到達し、魚類などの体内に蓄積されます。人はそのような魚介類を食料とするため、有害物質は人体にも蓄積され、健康を害する結果となります。

古くは明治時代に発生した足尾銅山鉱毒事件による人への健康被害は、死産も含め1,000人に及んだといいます。

参考:公害資料館のわ「NPO法人 足尾鉱毒事件田中正造記念館

人体への影響が大きいということは、ほかの動植物への影響もあるということです。土壌汚染は生活環境や生態系への被害をもたらすため、対策が必要です。

土壌汚染対策法の成立

日本では、前述した足尾銅山をはじめとして、別子銅山、日立鉱山、小坂鉱山で「4大鉱害事件」が発生しています。

ほかにも、富山県の神通川流域では、神岡鉱山からの排出物が原因のイタイイタイ病が、明治時代から発生しています。1968年には、厚生省が、イタイイタイ病の原因は鉱山から排出されたカドミウムであることを公にしました。

参考:富山県「公害病となったイタイイタイ病

さらに、長い時を経て土壌汚染に対する抜本的な対策を目指し、2002年「土壌汚染対策法」が成立します。これは、一定の条件にある土地に対して土壌汚染の調査を義務づけ、指定基準を超える汚染があった場合は法的措置により改善を図るものです。

 

工場跡地の土壌汚染の対策

工場跡地の土壌汚染対策

工場跡地を再利用する場合は、土壌汚染対策法において調査や措置が義務づけられている可能性があります。具体的な費用などを確認しておきましょう。

土壌汚染調査をする

以下の4つのケースに該当する場合は、土壌汚染対策法で土壌汚染に関する調査が義務づけられています。

  • 土壌汚染対策法で定める特定有害物質の製造や使用または処理をしていた施設の使用を廃止したとき
  •  3,000㎡以上の土地の形質変更を届け出る際に、都道府県知事が土壌汚染のおそれがあると認めるとき
  •  有害物質使用特定施設が設置されている土地で900㎡以上の土地の形質変更を届け出る際に、都道府県知事が土壌汚染のおそれがあると認めるとき
  •  土壌汚染により健康被害が発生するおそれがあると都道府県知事が認めるとき

なお、土地の形質変更とは、宅地造成や配管の設置など、土地の形状を変更することです。

調査の結果、土壌汚染がある場合は、土壌汚染対策法の規準に従い「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」に指定されます。

  • 要措置区域
    人への健康被害のおそれがあり、汚染の除却などが必要な区域
  •  形質変更時要届出区域
    人への健康被害のおそれはないが、土地の形質変更するときには届出が必要な区域

また、土壌調査については、前述した4つのケース以外でも、土地の所有者などは自主的に行えます。その結果で、区域の指定を都道府県知事に申請することも可能です。

土壌汚染の措置を実施する

土壌汚染調査の結果、要措置区域に指定された場合は、都道府県知事などから措置をするよう指示がされます。その内容に応じて、所有者などは措置を実施します。

具体的な措置の種類として、以下のようなものがあります。

  • 土壌溶出量規準に適合しない場合は、地下水の水質測定と汚染土壌の封じ込め
  • 土壌含有量規準に適合しない場合は、盛土など
  •  汚染土壌の除却(掘削除却するか原位置浄化)

掘削除却の場合は、汚染土壌を搬出する必要があり、運搬基準の遵守や管理票の交付と保存義務があります。また、搬出した汚染土壌は、許可を受けた汚染土壌処理業者の施設に運搬するか、条件を満たした別の要措置区域内に運搬して適切な処理をする必要があります。

土壌汚染対策の費用

土壌汚染対策の費用としては、まず調査時点での費用と、措置時点での費用の2つに区分して考えます。

土壌汚染調査費用

土壌汚染の調査方法は、次の3つがあります。

  • 地歴調査
    登記簿謄本や古い住宅地図帳などから、以前の使用状況を調査し汚染の可能性を調査する
  •  表層調査
    概況調査や状況調査とも呼ばれており、地面から約50cmの表層土を採取・調査し汚染状況を確認する
  •  詳細調査
    10mの深さまでボーリングし、土壌の試料を採取・分析し汚染の調査をする

費用の目安としては、専門会社が公表しているデータを下表にまとめました。なお、土壌汚染の調査は土壌汚染対策法に基づく指定調査機関に限られています。

土壌汚染調査費用の目安

  A社 B社 C社
地歴調査   10万~30万円/件   7万~35万円/件   10万~30万円/件
表層調査   20万~60万円/900㎡   20万~35万円/900㎡   15万~20万円/900㎡
詳細調査   20万~80万円/100㎡・1カ所   20万~80万円/1カ所   30万~50万円/100㎡

 

土壌汚染の措置費用

土壌汚染対策としては、汚染土壌の除却を行い、掘削した地盤に埋め戻しを行う方法が一般的です。

汚染の深さにより上下しますが、一般的には1㎥あたり5万円が目安とされます。

参考:環境省「対策工事費と土地売却額との関係の試算例

 

工場跡地の活用について

工場跡地の活用

土壌汚染の対策を行った工場跡地は、どのように活用したらよいのでしょうか。活用する際に注意するポイントや具体的な活用方法を紹介します。

開発行為と用途制限

工場跡地の再利用を考える場合、まず注意しなければならないのが、「開発行為」に該当するケースが多いことです。

工場跡地はほとんどの場合、面積が1,000㎡以上であり、市街化区域にあります。その場合、開発行為の規準が適用され、許可を受けなければ建物を建てるなどの再利用ができません。

また、都市計画に基づく用途地域の指定において、工業専用地域に指定されている場合は住宅を建てられません。店舗や学校、ホテル、病院といった建物も制限されます。

工業専用地域より制限のゆるい工業地域の場合は、住宅や店舗の建築は可能ですが、学校やホテル、病院の建築はできません。

ただし、準工業地域の場合は制限がゆるく、特殊な工場以外、ほとんどの建物を建てることができます。

活用方法

具体的な活用方法としては、以下のようなものがあり、実施例も全国で見られます。

  • 工場跡地全体を区画割りした定期借地住宅用地
  • 大型商業施設用地
  • 物流施設用地
  • 賃貸マンション用地
  • 工場用地

参考:全国の賃貸オフィス・賃貸事務所「全国の主な工場跡地開発

土壌汚染のある工場跡地は、適切な土壌汚染対策を行えば、通常の宅地として活用できます。

土壌汚染のある跡地であっても、十分土地活用として成果を上げられます。そのため、対策措置にかかった費用は、土地活用で生まれる収益から時間をかけて回収できます。

再利用計画を立てる

工場跡地の活用を検討するときは、立地条件やエリアの用途地域を確認し、地勢や面積に応じて需要が見込まれる利用方法を探ります。

想定される初期投資と賃料収入に基づき事業計画を立案し、目的とする事業収益が得られるのかをシミュレーションする必要があります。

活用方法は、前述したようにさまざまなバリエーションがあり、検討する業種も多岐にわたります。そのため、土地活用の専門家の意見を反映させることが望ましく、工場跡地の活用については全国展開する会社に依頼するのがおすすめです。

工場跡地の活用は加瀬グループにお任せください!

加瀬グループは、神奈川県を中心とし、地域に密着した不動産事業を全国に展開してきました。土地活用から賃貸、サブリース事業まで、幅広い不動産に関する経験とノウハウを持っているため、安心して大切な資産の運営をお任せいただけます。

特に、土壌汚染のある工場跡地の活用は、通常の土地に比べて何倍もの労力や知識が必要です。失敗しないためにも、まずはお気軽に加瀬グループへご相談ください。

 

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加瀬グループ編集部
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