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サブリース新法をわかりやすく徹底解説!施行された背景や影響

サブリース新法

サブリース新法とは、2020年12月15日に施行された「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」にある「第3章 特定賃貸借契約の適正化のための措置等」を指します。

特定賃貸契約とは、正確にはマスターリース契約を指しており、オーナーとサブリース会社が締結する契約のことです。一方、サブリース会社と入居者で締結する契約をサブリース契約といいますが、一般的に両方をまとめて「サブリース」と称されることが多いです。

サブリース新法の内容やその背景をわかりやすく徹底的に解説します。

 

サブリース新法が施行された背景

サブリース新法は2020年に施行が開始されましたが、その背景には悪質なサブリース会社が社会問題化したことがあります。

サブリースによるトラブルが多発

どのような物件でも新築時は入居者が集まり満室になりやすいものの、5年、10年と経過すると空室が目立ち、サブリース会社の利益も減少します。そのタイミングで、サブリース会社から家賃の減額や解約を申し出るケースが多発しました。

サブリースは、長期運用が原則となる投資方法です。

長期間の家賃保証を前提としてアパートを建設したにも関わらず、新築の期間にサブリース会社だけが転貸で利益を得たあとに解約されては、オーナーはたまったものではありません。

このように、減額や解約の可能性はないと誤認識させてアパートを建設させる「だまし討ち」が横行したことが、サブリース新法の施行につながっています。

社会問題化したきっかけの事件

サブリースが社会問題化した事件で有名なのは、スマートデイズ社による「かぼちゃの馬車事件」でしょう。

スマートデイズ社は、女性用シェアハウス(かぼちゃの馬車)において「30年間家賃保証、利回り8%以上」のうたい文句でオーナーとサブリースの契約を締結し、相場の2倍近い割高な建築費用を請求しました。そして、たった数年で家賃保証を打ち切り、多くのオーナーを自己破産へと追いやりました。

かぼちゃの馬車は、約4畳の部屋に共有のキッチン・トイレ・シャワーのみと、女性用シェアハウスと聞いてイメージできるものではありません。さらに、家賃も高額に設定されており、入居率は40%を下回るなど、当初から経営破綻していました。

また、シェアハウスの建物価値は約5,000万〜6,000万円にも関わらず、スマートデイズ社が示した建築費用1億円に対してスルガ銀行のみが融資をしていたことも、キックバックなど不正が疑われています。東京地裁からは、「不法行為に基づく損害賠償義務が生じる」と通告されています。

大東建託やレオパレス21などの大手企業も、同様のトラブルにより集団訴訟が起きています。

国土交通省主導による法整備の経緯

前述したようなサブリースの問題を解決するべく、2020年6月12日に「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が成立しました。

当時、国土交通省の副大臣だった御法川(みのりかわ)氏は、同年8月15日に開催された「第一回賃貸住宅管理業法の施行に向けた検討会」にてガイドラインの必要性を提言し、2カ月後の10月14日の第二回検討会にて策定されます。

遅きに失する感は否めませんが、悪質なサブリース会社を排除する法整備がなされたことは評価できます。

 

サブリース新法の内容をわかりやすく解説

サブリース新法をわかりやすく解説

サブリース新法にあたる「第3章 特定賃貸借契約の適正化のための措置等」は、第28条から第36条までで構成されており、大きな変更点は以下の3つです。

  •  誇大広告等の禁止(第28条)
  •  不当な勧誘等の禁止(第29条)
  •  重要事項説明の義務化(第30条)

サブリース新法では、誇大な広告や過剰な勧誘が制限されました。また、契約におけるメリットのみならず、そのリスクについてもオーナーが理解したうえで契約を締結することが定められています。

誇大広告等の禁止

特定転貸事業者又は勧誘者(特定転貸事業者が特定賃貸借契約の締結についての勧誘を行わせる者をいう。以下同じ。)(以下「特定転貸事業者等」という。)は、第二条第五項に規定する事業に係る特定賃貸借契約の条件について広告をするときは、特定賃貸借契約に基づき特定転貸事業者が支払うべき家賃、賃貸住宅の維持保全の実施方法、特定賃貸借契約の解除に関する事項その他の国土交通省令で定める事項について、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

引用:e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」第二十八条

サブリース新法の目的は、契約内容をオーナーが誤認識したまま契約を締結しないことにあります。

誇大広告等の「等」には、チラシやテレビCMだけでなく、SNSやホームページなども含まれており、すべての媒体においてサブリースのメリットのみを広告することが禁止されています。

また、国土交通省の「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」には、以下を「特に留意が必要な点」として掲載されています。

  • サブリース会社がオーナーに支払うべき家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項
  • 賃貸住宅の維持保全の実施方法
  • 賃貸住宅の維持保全に要する費用の分担
  • マスターリース契約の解除に関する事項

特にサブリースの契約解除について、賃借人となるサブリース会社からの解約は契約書の内容に応じて認められるが、オーナー側から解約する場合は借地借家法に基づいた正当な事由が必要であることを「広告の時点で表示する」よう求めています。

不当勧誘の禁止

特定転貸事業者等は、次に掲げる行為をしてはならない。一 特定賃貸借契約の締結の勧誘をするに際し、又はその解除を妨げるため、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者に対し、当該特定賃貸借契約に関する事項であって特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なものにつき、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為二 前号に掲げるもののほか、特定賃貸借契約に関する行為であって、特定賃貸借契約の相手方又は相手方となろうとする者の保護に欠けるものとして国土交通省令で定めるもの

引用:e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」第二十九条

不当な勧誘という表現から、執拗なセールスを思い描くかもしれません。サブリース新法においては、契約における重要な事項を伝えない、または事実とは異なることを指しています。

  • 将来的に家賃が減額されるリスク
  • 契約解除の可能性
  • 借地借家法によりオーナーからの解約には正当事由が必要である

上記のようなことをサブリース会社から伝えていないと、不当な勧誘とみなされます。

重要事項説明の義務化

特定転貸事業者は、特定賃貸借契約を締結しようとするときは、特定賃貸借契約の相手方となろうとする者(特定転貸事業者である者その他の特定賃貸借契約に係る専門的知識及び経験を有すると認められる者として国土交通省令で定めるものを除く。)に対し、当該特定賃貸借契約を締結するまでに、特定賃貸借契約の内容及びその履行に関する事項であって国土交通省令で定めるものについて、書面を交付して説明しなければならない。2 特定転貸事業者は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、当該特定賃貸借契約の相手方となろうとする者の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該特定転貸事業者は、当該書面を交付したものとみなす。

引用:e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」第三十条

賃貸や売買の契約時、不動産会社は重要事項説明書の交付と説明が義務づけられていますが、今回のサブリース新法により、サブリースの契約時も義務化されました。

サブリース会社は、「契約期間・更新及び解除に関する事項」を書面に記載し、契約前に説明をする必要があります。

スマートデイズ社の30年間家賃保証・8%以上の利回りなどを書面に記載してはいけないため、悪質業者の抑制につながることが期待されます。

ただし、売買などでは国家資格である宅地建物取引士が説明することが義務化されているのに対し、サブリースでは説明者の制限がありません。

前述の国土交通省ガイドラインにも「一定の実務経験を有する者や賃貸不動産経営管理士など専門的な知識及び経験を有する者によって説明が行われることが望ましい」と記載されており、あくまで「望ましい」に留まっています。

そのため、サブリース会社の従業員であれば誰でもよいわけですが、専門的な知識や経験を有している必要があるため、何を尋ねても回答ができない場合はサブリース会社を疑うべきです。

サブリース新法による影響

サブリース新法によって、サブリース会社の広告や勧誘において、リスクを隠しメリットのみを強調する悪質な営業行為は減少するでしょう。

また、オーナーがサブリースのリスクを理解する機会が増えたことは、喜ばしいことです。

しかし、法律の規制と抜け道はイタチごっこの関係にあるもので、今後も、特に不動産投資の初心者が注意すべきことには変わりありません。

サブリースを検討するのであれば、重要事項説明書の交付が義務化されたことで、契約内容を書面で確認する機会ができたのですから、そこから想定できるメリットやデメリットを読み取る努力は必要です。

サブリースは数ある不動産投資の中でも、うまく活用すれば、長期間の安定した家賃収入を得られる投資方法です。収支計画においてサブリース賃料の減額、または解約のリスクなどを想定する重要性は、サブリース新法が施行される前から変わりません。

 

信頼できるサブリース会社を選ぶコツ

信頼できるサブリース会社を選ぶ

サブリースに関わらず、不動産投資は長期運用が基本です。安定した収益を確保するには、信頼できるサブリース会社の選定が大切です。

サブリース新法が施行されたことで露骨な悪質業者は激減しましたが、自分の身は自分で守りましょう。

担当者の説明が「簡単」かどうか

サブリース会社の担当者の説明を聞いて「ほとんど理解ができない」場合は、聞き手に問題があるのではなく、担当者の説明に問題があります。

営業担当者は、その会社の顔です。聞き手のことを思い、かみ砕いた言葉を選び、順序立てて説明ができているかどうかを確認しましょう。

専門的な用語を並べて、メリットだけわかりやすい言葉で説明する担当者や会社は敬遠するべきです。

契約内容について

誇大広告や不当な勧誘が制限されたことで、サブリース会社は契約内容について偽りなく、ありのままを説明しなければなりません。

途中解約の条件や正当事由の考え方など、契約内容について不明な点があれば、遠慮せずに質問しましょう。

肝心の契約内容について言葉を濁したり、あいまいな返答をしたりするのは悪質業者の手法です。単純に営業担当者の知識が不足している場合も考えられますが、できるだけ避けるべきです。

サブリース会社の実績を調べる

サブリース会社の実績や運営実態を知るのはもちろんですが、契約後のメンテナンスや維持管理、修繕計画などを幅広くサポートしてくれるのが理想的です。

  • 経営破綻することのない地に足をつけた経営をしている
  • 長期運用の実績がある
  • 幅広いサポートをしてくれる

このようなサブリース会社を探すことが、サブリースを成功させるポイントです。

 

サブリースについては加瀬グループにご相談ください!

加瀬グループは、1973年の創業以来、横浜市を中心に地域密着型の不動産事業を全国展開してきました。賃貸住宅だけでなく、トランクルームや店舗開発など、あらゆる不動産活用をサポートしてきたからこその豊富なノウハウと経験があります。

また、加瀬のサブリースでは、土地の造成から運営、建物の修繕やメンテナンスまでをすべてサポートします。わずらわしいやり取りを避けたいがサブリースのリスクが怖い、という方も安心していただける提案が可能です。

サブリースに興味がある方は、まずはお気軽に加瀬グループにご相談ください。

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加瀬グループ編集部
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加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
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