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土地を貸すとトラブル発生!?回避するコツや契約の種類も紹介

土地を貸すトラブル

不動産取引の中でもトラブルに巻き込まれやすいのが、土地の貸し借りです。

マンションなどの賃貸住宅の貸し借り(賃貸借)では、管理会社や賃貸が専門の不動産会社に依頼することが一般的です。それに対して、土地を貸すまたは借りる場合は、個人間で取引することも珍しくありません。そのため、契約上の不備以前に、契約書がない口約束で取引が成立することもあり、問題が発生しやすいというのが現状です。

土地の賃貸借は、住宅の賃貸借と比較して、取り扱う不動産会社も少なく、大手不動産ではなく個人事業主である地主が不動産会社を営んでいることが多い傾向にあります。その結果、トラブルに巻き込まれるリスクがあると考えられます。

具体的にどういうトラブルが起きるのか、また、トラブルを回避するコツを紹介します。

 

土地を貸す際に起きるおそれがあるトラブル

土地を貸す際に発生しやすいトラブルは、以下の3つです。

  • 貸している土地を返してもらえない
  • 賃料(地代)の未払い
  • 契約外の建物の建設

どれが発生しても、解決まで時間を要する難しい問題です。

貸している土地を返してもらえない

短期間の賃貸借のつもりで貸し出した土地が、契約期間を満了しても返してもらえないことがあります。これは、土地の取引において、昔からあるトラブルの代表例といえます。

特に、後述する借地借家法が適用される場面では、土地の返還を求めることが困難になります。これは、借地借家法が、土地の持ち主ではなく、土地を使用している賃借人を守るための法律であるためです。

自分の土地なのに返却されないことに疑問を持つのは当然ですが、土地を貸すと、そのリスクが伴います。

借地借家法や土地の賃貸借契約によっては、もともと短期間では返還されないことを前提となっている場合があります。そのことを、取引に関わった不動産会社が理解しておきながら、悪意をもって契約を締結させるケースもあるようです。

話は少し逸れますが、昭和後期にはゲームソフトなどを友人から借りたままで返さない「借りパク」という言葉が若者の間で使われていました。最近はダウンロードが主流になったため、 あまり聞く機会はありませんが、相手の名前も住所もすべて把握している友人間でも、借りたものを返さないことがあるのですから、契約書面上でしか知り得ない相手が土地を返さない可能性も十分にあります。

賃料(地代)の未払い

土地を貸し出したときにリスクが高いのが、土地の賃料(地代)滞納によるトラブルです。

不動産所有者は、自分で利用していない場合でも、固定資産税や維持管理費の出費があります。土地を活用して収入を得ていれば、それらの出費を収入でまかなうこともできます。しかし、賃料を滞納されると、出費がそのまま赤字となり、金銭的な負担が大きくなります。

また、滞納を理由に契約解除するには、借地契約に基づいて複雑な手順を踏む必要があります。具体的には、賃貸人に対して未払いの賃料を支払うように催告を行い、そのあとに契約の解除を申告します。

催告を行わないまま契約解除の申告をした場合、土地の所有者が違反行為を行ったと判断されるおそれがあります。これは、悪質な未払いではなく「うっかり」や「病気など」による遅延の可能性を考慮した仕組みとなっているためです。

催告後も支払いがなく、契約解除の通知にも従わない場合は、裁判所に申し立てをします。

しかし、ここで厄介なのが「契約解除の申し出をすると支払いがされる」場合です。

そのあと、支払いを続けてくれればよいのですが、再度滞納→催告→契約解除の申し出→支払いが繰り返されると、ただ労力だけを消費します。

土地の所有者に対する嫌がらせであったり、催告することを諦めさせることを目的とした悪質な手段だったりするかもしれません。対応に手間や費用がかかり、負担の大きなトラブルといえます。

契約外の建物の建設

土地の貸し借りでは、契約時に約束された使用目的に反する建物が建てられるトラブルが起きるおそれがあります。

たとえば、駐車場や太陽光発電などの建物を必要としない使用方法で契約をしたのにも関わらず、建物が勝手に建てられ、不動産登記まで行われるケースがあります。

通常、土地の賃貸借は建物所有を目的としない場合、民法に基づいて扱われます。

一方で、以下のような状況がそろうと、民法ではなく借地借家法が適用される可能性があります。

  • 当初より建物を建てることが目的の契約
  • 契約に反して建物が建てられた
  • 建物の登記まで行っていた

借地借家法が適用されると、土地を借りている側に借地権が発生し、賃借期間が自動的に30年に延長されます。

このように、土地を借りている側が有利になり、長期的に土地を占有されてしまいます。30年の契約から、半永久的に土地が返還されない事案もあります。

 

そもそも「土地を貸す」とは?

土地を貸すとは

なぜ、紹介したようなトラブルが発生するのでしょうか。土地の賃貸借の仕組みなどを理解しておきましょう。

土地の賃借に関する2つの法律

土地の賃貸借では、さまざまな法律が関わってきますが、大きく影響するのは以下の2つです。

  • 民法における賃貸借規定
  • 借地借家法

民法は、日々の取引行為や家族間の相続などのルールについて明記されている法律です。その中で、賃貸借の規定が土地の賃貸借に関わる部分です。

一方で借地借家法は、その名前のとおり、借地や借家に関する法律です。

民法における賃貸借規定

民法における第601条に賃貸借の規定が定められています。

賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた者を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
引用:e-Gov法令検索「民法」第六百一条

 

本内容を土地の賃貸借取引に当てはめると、貸主は相手に対して使用収益(利用すること)を認める一方で、借主は一定の賃料を支払うとともに、定められた期日までに土地を返還します。

ただし、民法が適用される範囲は、土地だけの契約が対象です。 建物を含む契約となる場合は借地借家法の範囲になることは注意が必要です。

借地借家法

借地借家法は、たとえば土地を借りてマイホームを建設して暮らしている借主に対して、貸主の都合によって突然に土地の返還を求められるなど、理不尽に自分の資産を活用できなくなることを防ぐための法律です。

一方で、借主を保護するために、土地を貸した所有者が簡単に返還を求めることができない仕組みになっています。

1991年までは、借地法と借家法がそれぞれ存在していましたが、現在では借地借家法とひとつにまとめられています。

借地契約の種類

借地借家法において土地の賃貸借に大きく関わるのが、借地権です。この借地権という言葉を見ると、借りた土地に関する権利のように感じますが、この法律において重要なのは契約期間の考え方です。

借地権には、主に以下の2つがあります。

  •  普通借地権
  •  定期借地権
    ○ 一般定期借地権
    ○ 事業用定期借地権
    ○ 建物譲渡特約付借地権

また、定期借地権は上記のように細かく3種類に分けられます。

普通借地権の場合、土地の契約期間は一律として30年以上です。注意点として、契約期間は、契約書に5年と記載していても30年になります。

さらに、契約期間が経過したあと、1回目の更新後の契約期間は20年、2回目以降の更新後の契約期間は10年です。

この契約の解除は、基本的に借主のみ申し出が可能です。つまり、半永久的に土地を手放すことになります。

年数を制限するには、より法律上の理解と不備のない契約書が必要となる定期借地権の契約を締結します。

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トラブルを回避するコツ

トラブルを回避するコツ

土地を貸して、100%トラブルを回避することは難しいものですが、できるだけ対策をしておきましょう。

契約内容について

トラブルを回避するには、何より契約内容を整えることが重要です。

民法上、契約行為は口頭でも可能です。しかし、口頭での契約は、土地の取引だけではなく、一般生活の中でも「言った」「言わない」の水掛け論に発展しやすいため、避けましょう。

特に、土地の貸し借りは、高い金額かつ長い期間の取引になるため、契約書の用意は必須です。

契約書の内容では、以下のポイントなどに注意しましょう。

  •  契約期間
  •  賃料
  •  禁止事項(転貸や第三者への売却など)

上記以外にも、細かいところまで確認する必要があります。

土地を貸し出すことで儲けることは可能か

土地を賃貸借する目的のひとつは、収益化です。しかし、たとえば30坪や40坪の土地を賃貸化しても、利益はそれほど大きくはありません。

普通借地契約であれば、30年以上、半永久的に手放すことになります。一方、定期借地契約では、期間が短く、賃料が安価に設定されるのが一般的です。

土地を取られるかもしれないリスクと、土地を貸し出して得られる利益を比較すると、土地の貸し出しには疑問は残ります。

ただし、土地の坪単価に基づく相場に比べて需要がある場合は話が変わってきます。この場合、長期的に利用する計画がなければ、定期借地契約を締結しても、十分な利益を得ることが可能でしょう。

一方、相場を下回るような需要の場合は、リスクがある土地の賃貸借はおすすめできません。それよりも有益な投資方法を検討する必要があります。

土地を貸す以外の土地活用も検討する

土地を所有しつつ収益化をしたいのであれば、土地を貸す以外の活用方法も検討しましょう。

たとえば駐車場経営や、トランクルームなどであれば、立地によっては回転効率がよく、またリスクも少ない運用の仕方です。

また、キッチンカーや小型の店を用意してトレンドショップを展開するのもよいでしょう。最近では、無人店舗や唐揚げ専門店なども流行りです。少し前であればタピオカドリンクの店舗も人気でした。

ほかにも、立地に応じた利活用の方法があるため、不動産会社に相談しながら考えてみましょう。

 

土地の収益化は加瀬グループにお任せください!

土地の貸し出しでは、トラブルが発生しやすい傾向にあります。収益化をしたいなら、さまざまな土地活用の方法を検討するのがよいでしょう。

また、トラブルが発生する原因のひとつには、知識不足があります。

加瀬グループは、トランクルームや駐車場など、幅広い土地活用のサポートを提供し、多数の成功事例を持っています。

土地活用で成功するには、周辺地域や土地の条件など、あらゆる要素を考慮する必要があります。オーナー様が所有する土地に最適な活用方法を見きわめるために、ぜひお気軽に加瀬グループまでご相談ください。

 

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加瀬グループ編集部
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加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
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