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土地活用としてコンビニ経営は有効?気になる賃料や向いている土地の条件とは

賃貸経営や駐車場、ロードサイドにテナント(小売業や外食業など)を誘致するなど、土地活用には様々な方法があります。その中でも、コンビニ土地活用はコロナ禍でも有効な選択肢のひとつです。

ここでは、土地活用としてコンビニ経営の有効性やコンビニに向いている土地の条件について解説します。

 

コンビニ経営は土地活用の選択肢としてあり?

土地活用としてコンビニ経営は有効か

コンビニ経営は、他のテナント誘致より「収益性」「安定性」に優れています。また、アパートやマンション経営などと比べて「初期投資が少ない」「短期の出口戦略が可能」といった点が魅力的です。

コンビニ土地活用といっても、様々な事業形態があります。そのため検討するにあたっては「コンビニ業界」「適合地」「エリアに合う業者」「契約内容」を知ることが大切です。

それぞれについて確認してみましょう。

 

コンビニ業界の現状

新型コロナウイルス感染拡大の影響が様々な業界に広がっている中、コンビニ業界の現状はどのようになっているのでしょうか。

コンビニ市場は穏やかに回復傾向

コンビニへの土地活用を検討する前に、コンビニ業界の市場動向について把握しておきましょう。

 

コンビニ年度別販売額の推移

 

上記グラフはコンビニ業界の事業規模を表しています。経済産業省の商業動態統計によると、2020年のコンビ二販売額は11兆6,422億円(前年比▲4.4%)でした。

コロナ禍で多くの業界が前年比▲20~25%と業績を落とす中、コンビニ業界は健闘したといえます。その額は小売業全体の販売額(146兆円)の8%に迫ります。

 

コンビニ店舗数の推移

 

 

コンビニ店舗数は2018年まで各社が積極的に出店し、増加傾向です。2019年からは大手3社が横ばい・微増方針へシフトしたため、初めて減少しました。それは、かねてより懸案だった不採算店舗の整理が、緊急事態宣言が出され加速したことに起因すると考えられます。

コロナ禍で、スーパーやドラッグストアが好調な推移を見せています。コンビニは出遅れていましたが、直近の動向を見ると、穏やかな回復傾向にあります。

コンビニ需要が高まっている理由

コロナ禍でも、プチ贅沢としてコンビニの高級おにぎりの人気が高まり、煎りたてのコーヒーがおいしいと定番化してきました。また、一人暮らしの方向けの小分け商材が豊富など、コンビニを取り巻く話題は絶えません。

日本フランチャイズチェーン協会が公開している「コンビニエンスストア統計データ」のデータをもとに、2021年8月から過去2年をさかのぼり、コンビニ全店舗の総売上と来客数の推移を集計しました。

コンビニ売上と来客数の推移

2020年4月から発令された1回目の新型コロナウイルス感染症における緊急事態宣言時や、2020年末から21年始にかけての感染拡大第3波による外出自粛や行動制限などによる売上・来客数の減少が見られますが、2021年8月時点には復調傾向です。

また、今やコンビニは、単に買い物をする為の店舗ではなく、周辺住民や地域社会へ様々な価値を提供する存在です。経済産業省の「コンビニエンスストアの経済・社会的役割研究会」には、コンビニが提供する社会的役割や課題についてまとめられています。

例えば、買い物弱者への対策です。人口減少や高齢化などにより、日常的な買い物機会が十分に提供されていない人々、いわゆる買い物弱者が増加していることは、重大な社会問題となっています。

そういった背景から、コンビニ各社では移動販売やネット注文から配達までを完了させるサービスなどを提供し、問題解決に取り組んでいます。

その他にも、地域の防犯や安全対策として、各コンビニはセーフティステーション(SS)活動へ参加しており、安全・安心なまちづくりや青少年の健全化を促す存在としても地域に根差しています。

住民票・証明文書の交付といった行政サービスや地域雇用の創出の担い手としてもコンビニがあり、今後もコンビニの役割は地域社会にとって重要な存在となってくるでしょう。

 

コンビニの土地活用に向いている場所は?

コンビニの土地活用に向いている場所とは

コンビニの土地活用に向いている場所は、駅前の商業エリアや幹線道路沿いの人通りの多いロードサイドが代表的です。

ではさらに詳しく、コンビニの土地活用に向いている条件について見ていきましょう。

コンビニは前面道路の形状が重要

郊外型の大型コンビニに限らず、コンビニ店舗は幹線道路沿いの車で来店しやすい土地が有力な出店推奨地です。

さらに、同じ道路沿いでも以下のような道路形状が良いとされています。

  •  多方向から乗り入れできる角地や交差点
  •  前面道路の渋滞が少ない
  •  接する道路が緩い右カーブ
  •  中央分離帯がない道路

ポイントは、車での出入りが容易なことです。左側通行なので右カーブにあるコンビニは視認性がよく、道路の反対側からの来店が望めます。

コンビニに適する人通りの多い土地とは?

以下のような人通りの多い道路沿いもコンビニに適しています。

  •  大型商業施設の出入口付近
  •  バスの停留所が近い
  •  郵便局・病院・市役所など公共施設の周辺
  •  ビジネスホテルの出入口付近
  •  団地の出入口付近
  •  大学や高校など教育施設の周辺
  •  大手生産工場の周辺
  •  周辺に競合店がない

人通りがある、つまり人が集まる場所は大きな集客を見込めます。さらに市街地、住宅地、オフィス街、公共施設周辺などは来客が見込めるだけでなく防犯上も安心です。

コンビニに適しているかは専門家への相談がおすすめ

自身で所有している土地が、コンビニとしての活用に向いているかどうか判断するのはなかなか難しいものです。そのため、まずは土地活用の専門家に相談して判断してもらいましょう。

ただし、専門家の判断どおりにすれば良いというわけではありません。自身でも情報を収集して検討しましょう。

まず、正確な土地診断から地域に合わせたコンビニ業者の選定、資金計画や税制判断、そして契約内容を吟味してから、行わなくてはなりません。

コンビニ業者に関しては、以下の点を確認して判断しましょう。

  •  競争力と将来性
  •  契約期間の長さ
  •  中途解約ペナルティ条項
  •  当初設定賃料の根拠

都道府県別統計とランキングで見る県民性」では、各都道府県別に店舗数上位3社の情報がまとめられており、自分の地域で有力な業者選びの参考になるでしょう。

コンビニ土地活用は、このような総合的で客観的な判断が必要です。業者へ直接問い合わせる前に、まずは土地活用の専門家に相談することをおすすめします。

 

コンビニ土地活用の2つの方式

コンビニ土地活用は、店舗を出店するための土地を貸し出すという方式の投資です。貸し方には一般的に「リースバック方式」「事業定期借地方式」の2つがあります。

ここでは2つの違いや特徴、賃料目安を解説します。

リースバック方式

リースバックとは、土地所有者がコンビニの店舗を建て、土地・建物をコンビニチェーン本部に貸し付ける方式です。建て貸しとも呼ばれます。
当然、出店に関わる初期費用(土地の整地、建物の建築・内装の工事費)は土地所有者の負担です。しかし、その分が賃料に反映されるため、収益性は上がります。

また、コンビニ側で建設協力金を用意して、地主に対して有利な条件で貸し付けをしてくれる場合があります。
その分、賃料から建設協力金の返済額が引かれるため、収益性は下がります。

事業定期借地方式

事業定期借地とは土地をコンビニ業者に貸し、建物はコンビニ側が建てる方式です。

借地期間は短期型10~30年未満が主流です。長期型の定期借地契約や住居系の土地活用より短期の出口戦略が容易なため、状況に合わせた事業転換を計画できます。

リースバック方式と事業定期借地方式の比較

どちらの方式でも、土地所有者側は建物建築費の返済や賃料下落、そして中途解約時のリスクなどを考慮しなければなりません。2つの方式には、得られる賃料に大きな差はありません。その上で、様々なリスクを考えると事業定期借地の方が有利となる場合が多いでしょう。

リースバック方式と事業定期借地方式の違いを比較したのが下の図です。

 

 項目  リースバック方式  事業用定期借地権
土地の整地・造成費

土地所有者

土地所有者
建物の建築費

土地所有者
※本部が建築協力金として
土地所有者に貸し付ける場合もある

コンビニ本部
建物の内装工事費 土地所有者
※コンビニ本部が負担する場合もある
コンビニ本部
土地の賃借 コンビニ本部に貸し付け コンビニ本部に貸し付け
建物の名義人 土地所有者 コンビニ本部
契約期間 一般的に10~20年 10~30年
契約満了後 建物はそのまま土地所有者へ返還 コンビニ本部が建物を解体して土地を更地にし、所有者へ返還
賃料 高い 低い
節税効果 高い 低い

 

慣例から、コンビニエンスチェーン本部は交渉の際はリースバック方式をすすめてくることが多いようです。建物を自社で建築する必要がなく、費用負担を抑えられるためです。

どちらを選ぶかは、あくまで土地所有者とコンビニ側との交渉で決まります。そのため、事前に専門家に相談してある程度の方針を決めておきましょう。

賃料目安

コンビニ業者に土地を貸すと月々どれくらいの賃料が受け取れるのでしょうか。
各社それぞれの査定方法がありますが、その目安は固定資産税路線価から推定できます。

近隣駐車場の賃料を参考

一般的に、周辺エリアを調査したうえで相場に見合った1坪あたりの賃料を算出し、提示します。

月極駐車場の1台あたりのスペースは、転回スペースを含めて1台あたり7坪程度必要です。例えば100坪の土地であれば14台が駐車可能です。

5,000円(地域相場)×14台=70,000円

となり、坪当たり700円です。

そこに、整地・造成費用の負担分を考慮した500円が加えられ700円+500円=1,200円程度が1坪あたりの賃料の目安になります。

固定資産税路線価を参考

もうひとつの査定方法は、固定資産税路線価を基に試算する方法です。固定資産税路線価は、全国地価マップで調べることができます。コンビニ業者は、固定資産税路線価の3~5%程度で試算した賃料を提示してきます。

例えば、路線価が1㎡ 65,000円とすると、その道路に面している土地の地代相場は坪当たり

65,000円×3.3×3%=6,435円 です。
(※1㎡=3.3坪で計算)

100坪の土地であれば年額643,500円が目安となり、これを12ヶ月で割った53,625円が月当たりの賃料の目安となります。

また、建物設備の一式の費用(約3,000万円)を負担するリースバック方式の賃料は、事業定期借地に比べ、敷地面積により約10~35万円(月額)加算されるのが一般的です。

 

土地活用に関するご相談は加瀬倉庫

今やコンビニは人々の生活に欠かせない存在となっており、今後もコンビニ店舗の開発には高い需要が見込まれています。しかし、実際には立地や周辺環境によって収益性や開発が可能なのかなどは、大きく異なります。

自身が所有する土地がコンビニ経営に向いているかどうかなど、土地活用に関するお悩みがございましたら、まずは加瀬倉庫にご相談ください。

 

関連記事:土地活用の完全ガイド!おすすめの活用方法から失敗への対処法まですべて解説

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加瀬グループ編集部
加瀬グループ編集部
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