お金のかからない土地活用はある?よくある失敗例やおすすめの方法を紹介
せっかく土地を所有していても、資金がないため使い道がないと悩んでいる人は少なくありません。確かに、土地を活用するためには、ある程度まとまった自己資金や多額の融資が必要です。その一方で、アイデア次第では少ない資金でできる方法もあります。
お金のかからない土地活用方法や注意点を紹介するので、本記事を参考に土地を有効活用しましょう。
目次
お金のかからない土地活用方法とは?
土地を所有していても、資金不足や様々な事情で有効活用できていない方も多いでしょう。初期投資の少ない土地活用方法をいくつかご紹介します。これらの方法は、比較的少ない資金で始められ、土地の有効活用と収益化を見込むことができます。
定期借地権契約
定期借地権とは、事前に取り決めた一定期間、土地を貸し出す契約形態です。
通常は、一度土地を貸し出すと、万が一途中でその土地が必要になった際に使うことができないというデメリットがあります。しかし、定期借地権であれば定められた期間だけの契約になり、契約満了時には土地が戻ってきます。
何十年という長期で借地契約を交わすため、空室になるリスクや維持費を気にすることなく長期間安定した収益が確保できます。
定期借地権には、「事業用定期借地権」「一般定期借地権」「建物譲渡特約付定期借地権」の3種類があります。
事業用定期借地権は、比較的短期の契約期間を設定でき、しかも高い地代を得られる傾向があることから土地所有者に人気です。たとえば、ホテルやオフィス、店舗や工場などの企業が事業として活用します。
一般定期借地権は、賃貸マンションのような居住用建物の借地を指します。
定期借地権は、借りる事業者が建物を建築して借地するため、撤退リスクが低いというメリットがあります。さらに、土地オーナーは建物を所有していないため、修繕費などが不要です。
暫定利用
暫定利用とは、本格的に土地活用をする前に一時的に駐車場などで活用する方法です。
アスファルト舗装もせず、砂利敷きの駐車場を見たことがあるかもしれません。このような形式で月極駐車場を運営する場合は、舗装費用が不要です。最低限の整地と砂利敷き、ロープで区画割りをするだけで可能です。
管理を不動産会社、駐車場運営会社に任せるのであれば、毎月の手数料を払う必要がありますが、借主も業者が探してくれます。
暫定利用は収益性が低いものの、次の事業を手がける資金を作る間の一時しのぎができます。また、土地を売却せず持ち続けられることで、新しい事業のチャンスがあれば、比較的、早く対応が可能なため、一時的措置としては有効な手段といえます。
等価交換
等価交換とは、大手不動産会社などに対してマンションなどを建設する土地を提供し、マンションの所有権を出資比率に応じて受け取る方法です。
土地オーナーは建物の一部(土地等価分)を所有し、不動産会社は土地の所有権を得ます。
土地の条件によっては、オフィスビルやテナントビルなどの収益物件を建てる場合にも利用されます。建物の企画は不動産会社が行うので失敗するリスクが少ないです。また、不動産会社が建物の資金を全額負担し、建設後に建物と土地の価値を等価で交換するため、土地オーナーは資金を出す必要がありません。
所有権を得た建物を賃貸にすることも可能なので、家賃収入を得ることが可能です。
建設協力金方式
建設協力金方式とは、入居を希望するテナントから出資を受けて建物を建築して、テナント賃料から出資を受けた分を返済し、残りを収益として受領する方式です。
主に、コンビニエンスストアやホームセンターなどのロードサイド型店舗の一棟貸しで使われる方法です。
建設協力金の融資は金利が低く、融資期間も長期に設定できます。銀行の融資よりも有利な条件で、建物資金を借りることができます。テナント側からすると、賃料を払わない限り出資したお金が返済されません。そのため、建設協力金方式は、基本的にテナントの撤退するリスクが低いといえます。
万が一、テナントが撤退した場合は、撤退時に残る融資額を放棄させる契約を結ぶことが可能です。店舗そのものは土地所有者が所有するためリスクはあるとはいえ、安定収益が見込める土地活用です。
土地信託
土地信託とは、大手メガバンクの信託銀行など土地活用のプロに任せて収益を上げてもらい、報酬を支払った残りの金額をオーナーが受け取る仕組みのことです。
初期投資や経営に関する知識は不要ですが、収益を上げられる土地と判断されなければ土地信託は不可能です。また、信託報酬が収益額を下回った場合に、損失をオーナーが負担しなければならないといったデメリットもあります。
土地信託は複数の信託銀行に相談し、信頼できる信託銀行に依頼することが重要です。
お金のかからない土地活用のメリットとデメリット
お金をかけずに土地を活用することには、様々なメリットとデメリットがあります。
メリット
お金のかからない土地活用の最大のメリットは、初期投資が少ないため財務リスクが低い点です。大規模な開発や建設を行わないため、借入金の負担が少なく、事業が失敗しても大きな損失を被るリスクが低くなります。また、キャッシュフローの管理も比較的容易です。
また、短期間で収益化できる可能性が高いことも大きなメリットです。準備期間が短く、すぐに運用を開始できるため、初期投資が少ないこともあいまって、損益分岐点に早く到達できます。
将来の本格的な開発までの暫定利用として適している点も見逃せません。土地を有効活用しながら、将来の選択肢を残せるため、市場動向や周辺環境の変化を見極める時間的余裕が生まれます。
デメリット
一方で、お金のかからない土地活用にはデメリットもあります。まず、収益性が低い場合があることが挙げられます。投資規模が小さいため、得られる収益も限定的になりがちです。また、土地の潜在的な価値を十分に引き出せていない可能性もあり、経済状況の変動に影響を受けやすい点も注意が必要です。
また、長期的な土地の価値向上につながりにくいことも課題です。土地そのものの改良や高度利用が行われないため、周辺の開発状況によっては、相対的に土地の価値が下がる可能性があります。
用途変更の際に撤去や原状回復が必要になる可能性があることも考慮すべき点です。将来的な本格開発の際のコストが増加する可能性があり、撤去・原状回復の期間中は収益が得られません。また、環境負荷や廃棄物処理の問題が生じる可能性もあります。
資金なしの土地活用の注意点
前章で紹介した方法以外にも、土地活用には様々な方法があります。
では、資金がない場合にでも土地活用を進める際に、注意するポイントとはどのようなものがあるのでしょうか。
ローンの利用について
事業用ローンを利用することで土地活用を行うことも可能です。
土地活用には、アパートやマンション、高齢者施設や店舗、オフィス、太陽光発電などさまざまな種類があります。特に、アパート経営は代表的な土地活用ですが、近年融資が難しくなっており、借入総額の10%の自己資金がなければローンの審査を通ることは厳しいと考えられています。
背景として、2015年の相続税改正によりアパート経営が増加したための供給過剰や「かぼちゃの馬車」騒動などがあります。
また、所有している不動産を担保にして融資を受ける不動産担保ローンもあります。土地活用の目的に限定されないので、さまざまな事業の融資に利用可能です。
低金利のメリットがありますが、不動産が担保なので、ローンの返済が不可能になれば不動産を売却されるリスクがあります。ローンを利用する際は、事前にしっかりと審査基準や金利などを調べてから利用しましょう。
ローンを利用した土地活用、よくある失敗例
ローン融資が通過したとしても、借入総額が多く毎月の返済額が高いと、経営が成り立たなくなることがあります。
立地条件にもよりますが、アパートやマンションは築年数が古くなると、リフォームに費用がかかり、家賃を下げないと満室にならないケースもあります。
賃料と返済額の差がないと、将来的に赤字になってしまうこともあるので念入り計画しましょう。
土地の特性を見極める
お金のかからない土地活用でも、所有している土地がそもそもどのような土地なのかを見極めることが大切です。
アパート経営で将来にわたって需要が見込める土地なのか、店舗に向いている土地なのかなど土地の特性を理解して方向性を決めましょう。
土地活用の方法の見極めを間違えると、経営が成り立たないことがあります。専門家の意見を取り入れ、資金なしでも失敗しない方法を選ぶことが重要です。
お金のかからない土地活用に適した土地の条件
全ての土地がお金のかからない活用に適しているわけではありません。お金のかからない活用に適した土地の条件について、詳しく見ていきましょう。
立地条件
お金のかからない土地活用に適した立地条件として、まず交通アクセスの良さが挙げられます。公共交通機関の駅やバス停から徒歩圏内であることや、主要道路からのアクセスが容易であることが重要です。また、車での来訪者のための駐車スペースの確保が可能であることも、多くの活用方法において有利に働きます。
周辺に人口や企業が集中していることも大切な条件です。住宅地や商業地に近接している場合、潜在的な利用者が多いため、様々な活用方法の可能性が広がります。オフィス街や工業地帯に隣接している場合や、オフィス街や工業地帯に隣接している場合は、駐車場や資材置き場などの需要が見込めます。また、将来的な開発計画がある地域内にある土地は、暫定利用としての価値が高まる可能性があります。
自然環境に恵まれていることも、ドッグランや簡易キャンプ場といった活用方法には適しています。景観が良く、レジャーや癒しの場として適している土地であれば、より多くの利用者を引き付けることができるでしょう。ただし、環境保全地域などの規制がないかどうかの確認も重要です。
広告看板の設置を考える場合は、視認性・可視性の高さが重要な条件となります。交通量の多い道路に面していることや、高層ビルや丘陵地など、遠方からも見える位置にあることが望ましいです。周辺に視界を遮る建造物が少ない場所であれば、より効果的な広告展開が可能になります。
土地の広さ・形状
お金のかからない土地活用において、土地の広さや形状も重要な要素です。まず、平坦で整形地であることが望ましいでしょう。
土地の広さについては、用途に応じた適切な規模が求められます。例えば、ドッグランとして活用する場合は、最低でも100㎡程度の広さがあると、小型犬から大型犬まで安全に運動させることができます。貸し農園の場合は、1区画あたり15〜30㎡、全体で500㎡以上あれば、複数の利用者に対応できる理想的な規模となります。
資材置き場として活用する場合は、200㎡以上あれば、様々な建設資材を効率的に保管することができます。簡易キャンプ場としては、1,000㎡以上あると、テントサイトだけでなく、共用施設や駐車場なども含めた多様な施設配置が可能になります。
土地の形状に関しては、アクセスのしやすさも重要な要素です。道路に接している部分(間口)が広いと、車両の出入りがスムーズになり、様々な用途に対応しやすくなります。変形地の場合でも、創意工夫によって有効活用できる可能性があります。また、分割して利用することも視野に入れると、より柔軟な活用が可能になるでしょう。
将来の拡張や用途変更を考慮した余裕のある広さがあれば、段階的な開発も可能になります。例えば、最初は小規模な貸し農園としてスタートし、需要に応じて規模を拡大したり、一部をドッグランに転用したりするなど、柔軟な対応ができます。
少額投資で始められるおすすめの土地活用
土地活用といっても、アパートやマンション、店舗、太陽光発電など活用方法はさまざまです。その中でも特に、自己資金が少ない場合におすすめの土地活用を紹介します。
時間貸し駐車場
時間貸し駐車場(100円コインパーキング)は投資する金額が少なく、所有している土地に需要があればどのような場所でも始められます。
収益性はやや低いですが、管理が簡単でアパートや月極駐車場のように退去のリスクがありません。
ただし、近隣にコインパーキングができると賃料の減額要請のおそれがあります。時間貸し駐車場は少ない台数でも始められるため、狭小地でも駅前や店舗の多い場所など需要さえあれば可能な土地活用です。
太陽光発電
太陽光発電は太陽光パネルと架台のみに資金が必要で、比較的投資額の負担は少ない土地活用です。日照時間の長さや土地の広さ、送電する環境など設置する条件があるため、適切かどうかの判断は必要です。
収益性は、電力の売却価格が下がっているため、以前に比べると低くなっているといわれています。
太陽光発電には、管理する手間がほとんどいらない、アパートのような退去リスクがない、といったメリットがあります。
所有している土地が郊外でかつ広大な広さがあり、駐車場やアパートなどの需要が見込めない場合などに向いています。比較的少ない自己資金で安定した土地活用ができるため、田舎における土地活用としておすすめです。
屋外型のトランクルーム(レンタルボックス)
周囲にアパートやマンションがあり、ほかの土地活用に利用しにくい土地には、屋外型のトランクルームがおすすめです。加瀬倉庫では、屋外にコンテナを設置して運営するトランクルームサービスを「レンタルボックス」と呼んでいます。
レンタルボックスは、建築に多少の費用は必要ですが、内装などにほとんど費用がかからないため、資金が少ない土地所有者にもおすすめです。
貸し看板設置
土地の立地条件が良ければ、広告看板を設置して企業に貸し出すことができます。
実施にあたっては、まず土地の立地条件を確認することが重要です。交通量や視認性が高い場所が理想的です。次に、広告規制(屋外広告物制度等)を調べ、看板の大きさと種類を決定します。最近ではデジタルサイネージも人気です。看板設置業者に見積もりを依頼し、広告主を募集します。この際、広告代理店との提携も検討するとよいでしょう。
初期投資後の維持費が低く、長期契約で安定収入が得られることがでる一方で、立地によっては需要が限られることや、地域の景観規制に注意が必要な点がデメリットとして挙げられます。また、看板の劣化に伴う更新費用が発生することも考慮に入れておく必要があります。
貸し農園・コミュニティガーデン
都市部や住宅地近くの土地であれば、貸し農園やコミュニティガーデンとして活用することで、地域コミュニティの活性化に貢献しながら収入を得ることができます。
土壌調査や整備を行い、区画分けと水道設備を設置したのちに、必要に応じて簡易な倉庫や休憩所を設けて農園を作ります。利用規約を作成し、地域住民への告知と利用者募集を行って、契約締結後に運営を開始する方法が一般的です。
運営においては、定期的な土壌管理と共用設備のメンテナンスが重要です。また、利用者向けの栽培講習会や交流イベントの開催、地域コミュニティとの連携(収穫祭の開催など)を行うことで、より魅力的な場所づくりができます。
環境にやさしい土地活用方法であり、地域コミュニティの活性化に貢献できることは大きなメリットです。一方で、季節や天候に左右されることや、利用者の管理や調整が必要な点がデメリットとして挙げられます。収益性については立地や規模に大きく依存するため、事前の市場調査が重要です。
資材置き場
建設会社や工務店に資材置き場として貸し出すことも、お金のかからない土地活用方法の一つです。特別な設備が必要なく、フェンスなどの簡単な囲いを設置するだけで始められることが特徴です。
資材置き場を作るには、まず土地の地盤強度を確認し、周囲にフェンスを設置します。必要に応じて簡易舗装を行い、セキュリティ対策として監視カメラなどを設置することも検討しましょう。利用規約を作成し、建設会社や工務店への営業活動を行います。
契約時には、利用期間と料金の設定、搬入出可能時間の取り決め、保管可能な資材の種類の明確化、原状回復に関する取り決めなどを十分に協議することが重要です。
資材置き場としての活用は、初期投資が非常に少なく、長期契約が見込めることが大きな魅力です。また、土地の劣化が比較的少ないのも特徴です。一方で、騒音や粉塵の発生の可能性があること、重機による地盤への影響、周辺住民の理解を得る必要があります。
ドッグラン
都市部や住宅密集地では、ペット用の運動スペースが不足しています。この需要に応える形で、ドッグランとして土地を活用することができます。
設置に必要な設備としては、安全なフェンス、水飲み場と手洗い場、日よけ・雨よけのある休憩スペース、排泄物処理設備(袋とゴミ箱)、利用者用の駐車スペースなどが挙げられます。
運営においては、会員制か都度利用制かを選択し、ペットの健康証明書の確認や定期的な衛生管理と設備点検を行います。また、ペットトレーナーによるイベントを開催するなど、付加価値を高める工夫も効果的です。
簡易キャンプ場
自然豊かな地域であれば、簡易キャンプ場として土地を活用することも考えられます。
始めるにあたっては、テントサイトの整地や簡易トイレと炊事場の設置、駐車スペースの確保、防火設備(消火器、水バケツなど)の設置、案内板や注意事項の掲示、予約システムの構築(オンライン予約など)などを用意する必要があります。
運営上の工夫としては、地域の観光資源との連携、アウトドア用品のレンタルサービス、地元食材を使ったBBQセットの提供、自然体験プログラムの実施などが考えられます。これらの付加価値サービスにより、リピーターを増やし、安定した収益を得ることができます。
土地活用のご相談は加瀬倉庫まで
お金のかからない土地活用として、さまざまな選択肢があります。しかし、資金がない状態で土地活用に失敗すると、取り返しがつかなくなるおそれもあります。
加瀬倉庫ではトランクルーム事業だけでなく、店舗開発やパーキングなど、長年の経験から得た土地活用のノウハウがあります。
まずは、ご自身の所有している土地に合った土地活用を知るためにも、ぜひ加瀬倉庫にご相談ください。
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加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
当社の豊富な経験や実績をもとに、不動産活用でお悩みのオーナー様に便利でわかりやすい情報をお届けします。
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