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【オーナー向け】アパートの管理費の相場は?金額の決め方や内訳を紹介

アパートの管理費の相場は?

アパート経営では、家賃収入だけで考えるのではなく、支出される管理費を十分に検討する必要があります。健全な経営を実現するには、定期的な見直しをするべきでしょう。

本記事では、アパートオーナー向けに管理費の相場や内訳、金額の決め方を詳しく紹介します。

 

アパート経営における管理費の相場と内訳

管理費を把握するとキャッシュフローを計算しやすくなります。では、アパート経営における相場や内訳はどのようになっているのでしょうか。

アパート経営における管理費とは

管理費とは、一般的にアパートの維持管理にかかる費用全体のことです。

似たような用語である共益費は、入居者が共同で使用する設備、たとえば、エントランスや階段の保守、駐車場の清掃、共同の電気水道代などに使われる費用です。

共益費は管理費の名目で入居者に負担してもらったり、家賃に管理費(共益費)が含まれていたりとさまざまでしょう。

また、管理手数料は、アパートの管理を外部委託する際に委託先の管理会社へ支払う手数料です。そのため、管理会社を利用せずオーナーが自主管理できるなら不要です。

管理費の相場

IREM「全国賃貸住宅実態調査 調査結果報告」によると、2021年9月~12月における賃貸物件の構造別、間取り別の1戸あたり月額運営費は次のとおりでした。管理費の支出だけではなく、フリーレントによる家賃損失や敷金礼金などの収入が含まれており、実務的な数値として参考になります。

■賃貸物件の月額運営費

  木造 非木造
1R/1K/1DK  9,140円  1万7,281円
1LDK/2K/2DK 1万1,356円 1万8,901円
2LDK/3K/3DK 1万3,660円 1万8,188円
3LDK/4K/4DK  1万8,588円 1万7,454円

※1戸当たり月額平均、区分所有物件を含む
※月額運営費=支出+フリーレント損-入替時の収入

たとえば、木造2階建て、6部屋、1LDKの場合は以下のように計算できます。

1年間の管理費=1万1,356円 × 12カ月 × 6部屋=81万7,632円

仮に、このアパートの家賃が月6万円だとすると、満室時の家賃収入は1年で432万円です。つまり管理費の目安として、家賃収入の約20%がかかると考えられます。

なお、管理費のうち共益費に相当する部分は、家賃に対して木造で2.8〜8.9%、非木造で2.7〜9.7%でした。入居者に負担してもらう共益費はオーナーが自由に決められますが、相場から離れた価格設定だと入居者が決まらないリスクが高くなるため、家賃の10%以内にしましょう。

管理費の内訳

管理費には、以下のような費用が含まれています。

項目 概要
管理手数料 管理会社に委託する場合に支払う手数料
固定資産税 建物と土地にかかる税金で、地域によっては都市計画税も発生
修繕費 室内設備の交換、外壁、屋根、階段などの修繕
電気水道代 共用部分に水道や照明を設置している場合
保険料 火災保険、地震保険など災害に備えるため必要
広告宣伝費 入居希望者に物件をアピールするための広告など
原状回復費用 退去の際に部屋をきれいにするための費用

 

さらに、アパート全体にインターネット回線やケーブルテレビを引いている場合の通信料、植栽などがあれば手入れにかかる費用、寒冷地では除雪費用など、物件や地域の違いでかかる費用もあります。

【補足】管理会社に支払う手数料の相場は?

IREM「全国賃貸住宅実態調査 調査結果報告」によると、管理会社に支払う手数料の平均値は、家賃に対して一棟の木造物件が4.74%、非木造は4.86%でした。そのため目安として、家賃の5%程度が妥当だといえるでしょう。

つまり、家賃6万円のアパートなら1部屋あたり3,000円、家賃8万円では4,000円が1カ月あたりの管理手数料の目安です。

ただし、委託する業務内容によって金額は変動するため、まずは管理会社に相談してみましょう。

 

アパート管理費の決め方

アパート管理費の決め方

アパートへの入居を検討しているほとんどの人は、予算の範囲内で希望の条件を満たしている物件を探します。

オーナーからすると、入居者の毎月の負担が同じなら、管理費(この場合は共益費)込みでも管理費別でも変わらないと考えるかもしれません。しかし、管理費の決め方は意外と軽視できないテーマです。

家賃を管理費(共益費)込みにする場合

管理費込みの家賃を設定すると、一見して割高な印象を与えてしまいます。

さらに、入居時の敷金や礼金、仲介手数料は、家賃を基準にして金額が決まることが多いです。入居者にとっては管理費別の場合より初期費用が高くなるため、敬遠されるおそれがあります。

しかし、入居者の勤務先で家賃に応じた補助が行われている場合、管理費込みの家賃にしてほしいと交渉をされるケースもあり、必ずしも管理費込みの家賃がデメリットばかりではありません。

また、家賃を管理費込みにした場合は、家賃に占める管理費の割合が表に出ません。相場より高い管理費にするなど、オーナーが自由に決められるメリットが考えられます。

家賃を管理費(共益費)別にする場合

家賃と管理費の総額が同じでも、入居者にとって初期費用が抑えられることは、入居したくなる動機のひとつになります。

また、賃貸物件のポータルサイトなどで検索するとき、単純に家賃の条件のみを絞ると、管理費込みの物件よりも安い価格帯で表示されます。多くの人の目に留まりやすいのは、オーナー側のメリットとして大きいでしょう。

その反面、収入になる礼金は、家賃と管理費を分けてしまうと減少します。礼金は家賃を基に決まることが多いためです。

また、家賃に対する管理費の金額が明らかなため、入居者から管理費の値下げ交渉をされるおそれがあります。

悩んだら専門家の意見を聞こう

家賃に管理費を含めるのか含めないのか、管理費を含めるとしたら家賃に対してどのくらいの割合が適切なのかは、判断が難しいものです。

建物が老朽化すると、家賃が下がる傾向なのに対し、管理コストは増えていきます。しかし、入居途中での管理費(または管理費を含む家賃)の値上げは、契約更新時であったとしてもほとんどの入居者は了承してくれないでしょう。

そのため、管理費は最初から高めに設定しておきたいのですが、入居率が下がるおそれがあり、逆に安すぎると収益に影響します。

管理費の決め方に悩んだら、経験が豊富な管理会社に相談しましょう。多くのアパートで入居から管理まで行っている管理会社なら、周辺の相場や物件ごとの特徴、入居者のニーズや傾向などの情報を豊富に持っています。

最終的にはオーナーが決断しますが、専門家の力を借りるのもアパート経営を成功させるために必要でしょう。

アパートの管理費に関する注意点

最後に、アパートの管理費に関する注意点を紹介します。

入居者から値下げ交渉をされたときの対応

入居者からすると、管理費は何に使われているのか把握しにくい費用です。そのため家賃は値下げが難しくても、管理費なら値下げできそうだと考える入居者もいるようです。

入居者が退去してしまうと、管理費の値下げどころではない損失です。そのリスクを回避するには、常識的な範囲での値下げは受け入れる必要があるでしょう。

すでに長期間入居しており、家賃滞納やトラブルを起こしていない人なら、今後も問題なく住んでくれると期待できます。むしろ管理費を値下げしてでも長く住んでもらいたい入居者には、交渉に応じてもよいのではないでしょうか。

ただし、入居者同士で交流がある場合、特定の入居者への値下げが他の入居者にも知られてしまい、値下げ交渉のきっかけを作ってしまいます。断る理由にもなりますので、値下げに応じる条件は明確にしておきましょう。

管理費を節約するコツ

固定資産税のように、自分ではどうすることもできない費用は節約できません。しかし、管理委託料や保険料などは積極的に見直したいところです。

  •  管理委託料に見合った管理内容なのか
  •  保険料に見合った補償内容なのか
  •  長期契約で安くならないか

上記などを再度見直してみましょう。さらに、設備交換や修繕工事は、回数を減らすために複数個所を同時に行うといった工夫も管理費を節約するコツです。

ただし、管理費を節約したいあまり、入居者の満足度を下げて退去されては逆効果なので注意しましょう。入居者の入れ替わりが激しいアパートは、その度に原状回復費用が発生し、入居者募集の広告宣伝費がかかります。

管理会社の違い

管理会社に委託せず、オーナー自らがアパート経営を行えば、管理手数料を支払う必要がないため管理費を節約できます。しかし入居者対応などの業務をすべて自分で行う必要があるため、特にアパート経営が初めての方にとってはハードルが高いです。

オーナー自らが経営をする自主管理と、管理会社に業務を委託する委託管理には、それぞれメリットとデメリットがあります。

 

  自主管理 管理委託
メリット ・管理費が最小限で済む
・ 運営方針を自由に決められる 
・時間や手間がかからない
・相談に乗ってもらえる
・遠隔地の物件を運営できる
デメリット

・入居者対応が面倒
・ アドバイスを受けられない
・ 近隣物件しか運営できない

・ 管理委託料が発生
・管理会社で対応に差がある

 
また、管理会社の中には、定期的な建物管理だけの会社があれば、入居者募集から退去時対応、家賃回収、家賃保証、経営コンサルティングまでしてくれる会社もあり、管理会社の選定はとても大切です。

アパート経営に不慣れなうちは、できるだけ業務内容が充実している管理会社を選ぶことをおすすめします。

まずは加瀬グループにご相談ください!

加瀬グループは、アパートやマンション経営だけでなく、さまざまな土地活用の実績があります。不動産を取り扱った豊富な経験から得られたノウハウをもとに、オーナー様に最適なご提案をさせていただきます。

また、委託していただく管理業務の内容も、別途プランを用意して柔軟に対応いたします。自分で可能な管理、委託したい管理を見極める意味でも、まずは気軽に加瀬グループにご相談ください。

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加瀬グループ編集部
加瀬グループ編集部
加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
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