土地活用で貸事務所経営を行うなら知っておきたい基礎知識
使い道に悩んでいる土地を所有しているなら、土地活用で「貸事務所」を経営するのも選択肢のひとつです。
代表的な土地活用として、アパート経営や駐車場経営もありますが、それらと比較して貸事務所にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
土地活用で貸事務所経営を選択するメリットやデメリット、向いている土地の条件などについて解説します。また、事業をスタートするまでの具体的な手順も紹介するので、前向きに検討してみましょう。
目次
土地活用で貸事務所経営はおすすめ?
土地の活用方法として貸事務所経営を検討するなら、まずは収入を得る仕組みをよく理解しておきましょう。また、貸事務所のメリットとデメリットについても紹介します。
貸事務所経営で収入を得る仕組み
土地活用の貸事務所経営とは、土地に建てた建物を事務所としてテナント(入居事業者)に貸し出し、家賃収入を得る方法です。
貸事務所として家賃収入を得るには、次のようなステップを踏みます。
- 貸事務所向けの建物を取得
- 内装と設備を整える
- 賃貸条件を設定
- 不動産仲介会社にテナントの募集を依頼
- 賃貸借契約を締結
土地を所有している場合は、貸事務所向けの建物を新築するプロセスがありますが、こちらは後ほど詳しく紹介します。
貸事務所の賃貸条件は、次のような項目を設定します。
- 毎月の家賃
- 毎月の共益費または管理費
- 敷金または保証金
- 礼金
賃貸条件の設定ができたら、不動産仲介会社にテナントの募集を依頼します。入居申し込みに基づき審査を行い、賃貸借契約の締結を進めます。
この契約手続きは不動産仲介会社に任せられますが、テナントの入居後は、賃貸管理会社に管理業務を委託するかオーナー自身が自主管理します。
オーナーはテナントから支払われる家賃などを毎月確認して、必要な建物管理や入退去を管理します。
また、建物の建設から入居者募集、管理まで一括して対応してくれる会社もあります。手間をかけたくない方や、専門家に任せたほうが安心できるという方は検討してみましょう。
貸事務所として土地を活用するメリット
貸事務所の経営は、賃貸住宅などと比較して以下のようなメリットがあります。
- 入居期間が長い
- 賃料単価を高くできる
- 内装や設備に投資する費用が少ない
- 敷金や保証金が高く資金運用できる
事業の拠点となる事務所は一度構えると、よほどの事情がなければ移転することはありません。
事業には必ず顧客がおり、顧客へのアクセスを考えて事務所の立地を考えるものです。それ以外にも事務所の立地を決定するまでにさまざまな要素を検討するため、住宅よりも移転する動機が生まれにくいといえるでしょう。
テナントは立地条件を優先して物件を選択するので、賃料が高くても入居する確率が高まります。そのため住宅と比較すると、坪単価を高めに設定できる傾向があります。
また、内装や設備は必要最低限度にし、テナントごとに必要な設備などはテナント負担で改装する条件で募集ができます。
敷金は、住宅であれば家賃の約1カ月分が一般的ですが、事務所の場合は敷金または保証金として3カ月を条件とするケースもあります。面積が広い場合は、数十万円を超える敷金となり、入居期間も長くなる傾向があるので、その間資金運用することが可能です。
貸事務所として土地を活用するデメリット
貸事務所経営は、賃貸住宅などと比較して以下のようなデメリットがあります。
- 空室リスクがある
- 景気の影響により賃料相場が変化する
- テナント募集が住宅より難しい
貸事務所は賃貸住宅と比較して需要の絶対量が小さいため、空室リスクは住宅よりも大きいと考えるべきでしょう。しかし、需要に対する供給も住宅よりも小さいため、空室リスクがあっても深刻に捉える必要はないでしょう。
貸事務所は住宅よりも、経済状況によって需要が左右される傾向が強いです。景気のよいときは、事業拡大や新規進出などで貸事務所の需要は増加します。反対に景気が悪化すると、企業の撤退や廃業、経営破たんなどで市場は縮小します。
またテナントを募集するときは、住宅をメインとした不動産仲介業者では顧客開拓ができないなどの面があるため、仲介会社の確保が課題となりそうです。
貸事務所が向いている土地の条件を解説
土地活用には、賃貸事業だけでも住宅や店舗、事務所、倉庫、工場などさまざまな種類があり、それぞれ適している土地の条件が異なります。
ここでは、土地活用の方法として貸事務所を選んだほうが有利になるケースを紹介します。
交通の利便性がよい
貸事務所の立地としてまず重要なのは、交通の便です。
交通の利便性が高いと、事業者は客先を効率的に訪問できるだけでなく、そこから営業エリアを拡大することも可能です。
また、公共交通機関だけでなく、道路交通の条件も重視されます。来客が多い事業の場合、駐車スペースや近隣の駐車場の利便性が高いとよいでしょう。
知名度が高い地域にある
事業者が顧客に自社を紹介するとき、事務所の所在地が、知名度の比較的高い地域や有名なビジネス街などにあると、信頼感を与えられます。そのため、都心やオフィス街に近い場所にある土地は貸事務所に向いています。
また、来客は多くなく客先に訪問する割合が高い事業では、事業エリアのほぼ中心部に事務所を置きたいと考えるものです。特定の商業施設や官公庁との関係が深い事業者の場合は、それら施設へのアクセスがよいほど入居率が高まります。
テナントの対象を広げたい場合は、やはり街の周辺エリアより都心に近いほうが有利といえるでしょう。
賃貸住宅の建設に向かない土地
賃貸住宅の場合、建築基準法の採光面積の規定で、床面積に対して7分の1以上の自然光を確保するための開口部が必要とされています。
(前略)採光のための窓その他の開口部を設け、その採光に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、住宅にあつては七分の一以上、その他の建築物にあつては五分の一から十分の一までの間において政令で定める割合以上としなければならない。
引用:e-Gov法令検索「建築基準法」第二十八条
そのため、狭小地だと日照条件が悪い傾向にあり、賃貸住宅の設計は難しいケースがあります。
事務所建築の場合は、採光面積の規定が除外されるため、設計に支障がなく建築しやすいといった面があります。
立地条件にもよりますが、狭小間口の土地の場合は貸事務所とする選択肢もあるでしょう。
土地を貸事務所として活用する手順
事務所の賃貸事業を始める手順としては、大きく分けて以下3つの段階があります。
- 土地活用の専門家に相談する
- 新築工事の準備と賃貸条件の設定を行う
- テナント募集を開始し事業をスタートさせる
それぞれの工程について詳しく説明します。
手順1:土地活用の専門家に相談する
まず、土地活用の専門家に相談するところからスタートします。
土地活用の専門家とは、賃貸住宅や貸事務所、貸店舗などの賃貸収益物件の企画や開発を得意とする事業者です。具体的には、建築士事務所や建設会社、不動産開発会社、デベロッパーなどが該当します。
市場調査や需要予測に基づき、一定のエリアやポイントでその土地に最適な建物を企画・開発し、事業として育てます。建物の設計をするだけ、建物を建てるだけといった単一の仕事ではなく、事業化のプロセスまでを含んだ総合的な力が必要です。
所有している土地や周辺エリアのマーケティング調査を行い、建物の設計から事業計画までを相談し、まとめてもらうのがこの段階です。
手順2:新築工事の準備と賃貸条件の設定を行う
建物の詳細設計までまとまった時点で、工事見積りを施工会社から提出してもらいます。
見積もりをもらったら、工事金額や施工能力、アフターサービスなどをよく確認して依頼先を決定します。
この時点で建設予定地の特定行政庁に建築確認申請を行い、建築工事の準備に着手します。
建築確認済証が交付されると、テナント募集の広告を開始できるので、確認申請中に賃貸条件を最終的に取りまとめます。
手順3:テナント募集を開始し事業をスタートさせる
建築確認済証が交付され建築工事が開始すると同時に、テナント募集も開始します。賃貸管理会社が決定している場合は、管理会社とも相談し仲介会社への告知や広告宣伝の方法などを検討します。
自主管理で経営する場合は、専門家の意見も取り入れながら、テナント募集の宣伝広告と仲介会社への告知をオーナー自ら行います。
仲介会社への告知は各店舗に賃貸条件を明記したマイソクを持参し、顔を合わせての紹介依頼を行うほうが丁寧でしょう。しかし、メールなどで対応できる場合は、必ずしも訪問する必要はありません。
管理会社に管理業務を委託する場合でも、仲介会社とのコンタクトは直接取れるようにしておくほうが望ましいです。
テナント募集に対しての反響が出てくると、いよいよ事業が本格的スタートとなります。
土地活用に悩んでいるなら加瀬グループにご相談ください!
土地活用として貸事務所が向いている具体的なケースなどを紹介しましたが、土地の特徴は周辺環境などさまざまな要因によって変化します。
そのため、本当に貸事務所経営が自分の土地に向いているのかは、慎重に判断する必要があります。
土地活用の方法に悩んだら、まずは加瀬グループにご相談ください。加瀬グループは貸事務所だけでなく、賃貸住宅やレンタルボックス、駐車場など幅広い土地活用をサポートしてきた豊富な実績があります。そのノウハウを生かして、お客様一人ひとりに合った土地活用を提案します。
また、建物の建設から入居者募集、管理まですべて一括で行うプランもあるため、初めての土地活用でも安心してください。まずは気軽な相談からお待ちしています。
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加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
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