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土地活用で固定資産税を更地より安くできる?具体的な条件や方法

土地活用で固定資産税を安くできるか

固定資産税は、毎年1月1日時点で土地や建物を所有している方に対して課税される市区町村税(東京23区は東京都)です。土地の場合、更地の状態が最も高額です。

そのため、一般的には「更地は放置せずに、何らかの方法で土地活用すべき」といわれています。

実際、その通りではあるのですが、土地活用することで固定資産税がどのくらい変わるのかなどを、正確に理解せずに進めるのは危険です。

本記事では、土地活用が固定資産税に与える具体的な影響や、固定資産税を抑える具体的な方法を解説します。更地を所有している方や更地の取り扱いに悩んでいる方のご参考になれば幸いです。

 

土地活用と固定資産税の関係

ここでは、更地だと固定資産税が高くなる理由や計算方法を解説します。

更地だと固定資産税が高い理由

更地の固定資産税が高額な理由は、住宅用地特例という減税制度を受けることができないためです。

土地は、非住宅用地(商業地等)と住宅用地の2種類に分けられます。住宅用地に該当して一定の条件を満たすと、固定資産税が減税される住宅用地特例が利用できます。

一方、更地が該当する非住宅用地(商業地等)は、住宅用地特例が受けられないため、どうしても固定資産税が高額になってしまいます。

更地だと固定資産税は6倍高くなる!?

住宅用地特例を利用すると、固定資産税が6分の1、都市計画税が3分の1になります。

そのため、更地の場合は住宅用地に比べて固定資産税が6倍、都市計画税が3倍高くなるといわれていますが、それは正しいのでしょうか。

住宅用地特例を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

区分 条件 固定資産税
小規模住宅用地 住宅の敷地で住宅1戸につき200平米までの部分 課税標準額 × 6分の1
一般住宅用地 住宅の敷地で住宅1戸につき200平米を超え、家屋の床面積の10倍までの部分 課税標準額 × 3分の1

参考:横浜市 「土地についての特例」

小規模住宅用地に該当する場合は、固定資産税が6分の1になります。

しかし、実際に更地だと固定資産税が6倍になるかというと、そうではありません。その理由は、次で紹介する負担調整措置があるためです。

非住宅地用地の負担調整措置

固定資産税には、評価額が急激に上昇した際に税額の上昇をゆるやかにして、課税標準額を徐々に本来の金額に近づけていく「負担調整措置」があります。

具体的には、負担水準を算出して、負担水準が高い土地の税負担を引き下げたり据置いたりする一方で、負担水準が低い土地は税負担を引き上げます。

なお、負担水準は以下の計算式で算出します。

負担水準(%)=前年度課税標準額 ÷ 本年度評価額 × 100%

非住宅用地の負担水準に対する負担調整措置は、以下の表のとおりです。

負担水準 負担調整措置
70%超 当該年度の評価額の70%相当額を課税標準として計算する
60%以上70%以下 前年度課税標準額に据置き
60%未満  前年度課税標準額+(価格 × 5%)

 参考:令和6年度固定資産税(土地)の税額計算の仕組み

ちなみに、前年度課税標準価格と当該年度の評価額は、微々たる変化しかないケースがほとんどで、負担水準は「70%超」になるのが一般的です。

したがって、更地の課税標準額は以下の計算で求められます。

更地の課税標準額=土地の固定資産税評価額 × 70%

更地の固定資産税を正確に計算するには、単純に住宅用地の固定資産税を6倍にするのではなく、負担調整措置があることを知っておきましょう。

【具体例】更地と住宅がある土地の固定資産税の比較

更地と住宅がある場合の固定資産税が、具体的にどれくらいの違いがあるのか計算してみます。

広さが「200平米以下」の土地の場合

以下の条件の更地と住宅がある土地の固定資産税を比較してみます。

前提条件
● 土地面積:150平米
● 土地の固定資産税評価額:4,200万円
● 住宅:戸建て(住宅用地の軽減措置が適用)
● 負担水準:70%

住宅がある土地の固定資産税
4,200万円(固定資産税評価額) × 6分の1(小規模宅地の特例) × 1.4%(税率)=9万8,000円(固定資産税)

更地の固定資産税
4,200万円(固定資産税評価額) × 70%(負担調整措置) × 1.4%(税率)=41万1,600円(固定資産税)

上記の計算から、住宅用地特例が適用された土地よりも更地のほうが、固定資産税が31万3,600円高いことがわかります。

更地には負担調整措置が適用されるため、固定資産税は住宅がある土地の6倍ではなく、4.2倍に抑えられています。

広さが「200平米以上」の土地の場合

以下の条件の更地と住宅がある土地の固定資産税を比較してみましょう。

前提条件
● 土地面積:300平米
● 土地の固定資産税評価額:4,200万円
● 住宅:戸建て(住宅用地の軽減措置が適用)
● 負担水準:70%

住宅がある土地の固定資産税
200平米までの部分は小規模住宅用地(①)、200平米を超えた部分は一般住宅用地(②)が適用

① 4,200万円(固定資産税評価額)× 3分の2(200平米までの部分) × 6分の1(小規模宅地の特例)
② 4,200万円(固定資産税評価額)× 3分の1(200平米超えの部分)× 3分の1(一般宅地の特例)
① + ② × 1.4%(税率)= 13万600円(固定資産税)

固定資産(土地・家屋)の課税標準額を合算し、1,000円未満を切り捨てた額に税率を乗じ算出した税額の100円未満を切り捨て。
参考:横浜市「新築住宅に係る固定資産税の減額制度)」

更地の固定資産税
4,200万円(固定資産税評価額) × 70%(負担調整措置) × 1.4%(税率)=41万1,600円(固定資産税)

上記の計算から、住宅用地の軽減措置が適用された土地よりも更地のほうが、固定資産税が28万1,000円高いことがわかります。

更地には負担調整措置が適用されるため、固定資産税は住宅がある土地の約3.15倍になっていることがわります。

 

固定資産税を抑える具体的な方法

駐車場経営で固定資産税を抑える

更地の高額な固定資産税を抑えたいのであれば、何らかの土地活用が必要です。ここでは、土地活用で固定資産税を抑える具体的な方法を紹介します。

長期優良住宅を建てる

長期優良住宅とは、長期間住み続けられるために国が設定した一定の基準を満たした、優良な住宅のことです。

長期優良住宅の場合、固定資産税が2分の1になる「新築住宅に係る税額の減額措置」の期間が延長されます。

具体的な期間は、以下の表のとおりです。

  戸建て住宅 マンション
通常の住宅の半額期間 3年間 5年間
長期優良住宅の半額期間  5年間  7年間

 出典:国土交通省「新築住宅に係る税額の減額措置」

このように、新築の長期優良住宅を建てると、更地よりも固定資産税を抑えられます。

ただし、長期優良住宅に認定されるには、以下の項目に関する基準を満たす必要があります。

  •  劣化対策
  •  耐震性
  •  省エネルギー性
  •  維持管理・更新の容易性
  •  可変性
  •  バリアフリー性
  •  居住環境
  •  住戸面積
  •  維持保全計画
  •  災害配慮

詳しい条件は多岐に渡るため、「長期優良住宅認定制度の概要について(新築版)」を確認しましょう。

駐車場経営などを行う

駐車場経営は初期費用があまりかからず、気軽に始められるためおすすめです。

支払いしか発生しなかった土地から利益を得られるため、固定資産税の支払いを利益によってまかなうことが可能です。

ただし、駐車場の場合は土地の上に建物が建っていないため、固定資産税そのものを軽減する効果がないことは理解しておきましょう。

固定資産税をクレジットカードで支払う

東京23区など、地方公共団体(自治体)によっては固定資産税をクレジットカードで支払うことができます。

直接的に固定資産税が抑えられるわけではありませんが、クレジットカードで支払うことでポイントが還元されるため、実質的な負担を軽減できます。

固定資産税を支払う際は、自身が納税する地方公共団体がクレジットカードの支払いに対応しているのかを確認してみましょう。

 

土地活用で影響があるのは固定資産税だけ?

更地を土地活用すると、影響がある税金は固定資産税だけではありません。たとえば、駐車場経営を始めた場合、収入があるため所得税に影響が出ます。

ここでは、土地活用によって影響がある税金について解説するので、土地活用を検討する際の参考にしましょう。

都市計画税

土地活用をすると、都市計画税も固定資産税と同様に、住宅用地特例が適用されます。

具体的な内容は、以下のとおりです。

区分 条件 都市計画税
小規模住宅用地 住宅の敷地で住宅1戸につき200平米までの部分 課税標準額 × 3分の1
一般住宅用地 住宅の敷地で住宅1戸につき200平米を超え、家屋の床面積の10倍までの部分 課税標準額 × 3分の2

 参考:横浜市「土地についての特例」
つまり、更地に住宅を建てた場合、最大で都市計画税を「3分の1」に減額できます。

所得税

駐車場やアパートなどの土地活用をすると、収入が発生するため、所得税が高くなる可能性があります。

とはいえ、アパートなどの場合は建築費を減価償却費として経費計上できるため、帳簿上で赤字になることは珍しくありません。

帳簿上で赤字になれば課税所得が赤字になるため、逆に所得税の負担を減らすことも可能です。

住民税

住民税は、課税所得額に「都道府県民税4%」と「区市町村税6%」の合計10%を乗じた金額が課税されます。

そのため、土地活用によって所得が変動すると住民税にも影響が出ます。

もちろん、所得税同様に帳簿上の所得が赤字になった場合は、 住民税の負担が減らせます。

 

土地活用は加瀬グループにご相談ください!

更地を所有している方や相続によって所有する予定の方は、まずは土地活用の実績が豊富な不動産会社に相談しましょう。 土地活用の方法だけでなく、固定資産税などの税金面での相談にも乗ってくれます。

加瀬グループは土地活用の実績が豊富なため、それぞれの土地に合った活用方法を提案できます。土地活用をするかまだ決めていない方でも、お客様のあらゆる疑問を解消する手助けをいたします。まずは気軽にご相談ください。

投稿者

加瀬グループ編集部
加瀬グループ編集部
加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
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