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売れない土地を相続したら|相続放棄や手放す方法とその注意点を解説

売れない土地を相続したら

親から受け継いだ土地がなかなか売れず、固定資産税と維持費用だけが毎年出ていく、そんな状況に置かれることも珍しくありません。

売れない土地には共通する理由があり、原因が分かれば取り得る手段も見えてきます。土地の特徴から処分方法、相続放棄や相続登記との関係までを紹介します。

 

相続して売れない土地の特徴

土地が売れない背景には、価格設定だけでなく、立地や形状、法令上の制限など、土地そのものの条件が影響しているケースもあります。自分が相続した土地がどのタイプに当てはまるのかを見極めることが、対策を講じる出発点になります。

地方・過疎地域など立地条件が悪い

代表的なのが、需要そのものが乏しい地域に土地があるパターンです。人口減少が進む地方や過疎地域では、住宅を新築しようとする人が限られ、価格を下げても買い手が現れないことがあります。

最寄り駅やバス停から遠い、生活利便施設が近くにない、傾斜地で造成費がかさむといった条件が重なると、売却の難易度はさらに上がります。

接道条件を満たしていない

建物を建てる敷地は、原則として建築基準法上の道路に2m以上接している必要があります。建築基準法上の道路は原則として幅員4m以上ですが、幅員4m未満でも一定の要件を満たす道路が同法上の道路として扱われる場合があります。

必要な接道条件を満たしていない土地は、建物の新築や建て替えができず、住宅用地として売却しにくくなることがあります。旗竿地で通路部分の幅が不足している場合などは、まず道路の種類や接道状況を確認することが大切です。なお、私道であっても建築基準法上の道路に該当する場合があるため、私道に接しているという理由だけで再建築不可になるわけではありません。

形状が悪い・面積が狭すぎる

三角形や極端な細長い形をした土地は、建物の配置に制約が生じるため敬遠されがちです。反対に面積が広すぎる土地も、個人では購入しにくく、分譲事業者などが主な買い手になることがあります。

また、自治体の条例や都市計画によって最低敷地面積が定められている地域では、その基準を下回るような新たな土地分割や建築が制限される場合があります。ただし、規制が設けられる前から存在する土地などには例外が認められることもあるため、自治体への確認が必要です。

境界が確定していない

隣地との境界がはっきりしない土地は、購入後のトラブルを警戒して売却が難航します。古い分譲地や農村部では、境界標が失われていたり、公図と現況が食い違っていたりすることが珍しくありません。

境界が未確定のままでは、後述する相続土地国庫帰属制度でも申請が却下される対象になります。

農地・山林・原野など利用用途が限定される

農地は農地法による規制を受けており、農地を農地のまま売買する場合には、原則として農業委員会の許可が必要です。購入する側にも、取得後に農地を適正に利用することなど一定の要件が求められるため、一般的な宅地に比べると買い手が限られやすくなります。

また、農地を住宅地など別の用途として利用する場合には、農地転用の許可や届出が必要になることがあります。

山林や原野も、境界の把握が難しかったり、活用方法が限定されたりすることで、売却まで時間がかかる場合があります。特に利用需要が乏しい地域では、長期間買い手が見つからないケースもあります。

古家や残置物がある

築年数の古い建物が建ったままの土地は、買主が解体費用を見込むぶん、提示される価格が下がります。室内に家財や仏壇などの残置物が残っていると、その処分費まで買主の負担になるため、さらに敬遠されます。

老朽化が進んで倒壊の危険がある建物は、買主にとって購入直後の出費が確定しているのと同じ状態です。

共有名義になっている

複数の相続人で土地を共有している場合、売却には共有者全員の同意が必要です。相続を重ねるうちに共有者が枝分かれし、面識のない親族が権利者に加わっていることもあります。人数が増えるほど意見の集約は難しくなり、結果として誰も動けないまま放置される構図が生まれます。

 

売れない土地を相続して所有し続けるリスク

売れない土地を相続して所有し続けるリスク

売れないからといって手をこまねいていると、負担は年々積み上がります。所有し続けることで生じる具体的な不利益を押さえておきましょう。

税金の負担

土地を所有している限り、毎年1月1日時点の所有者に固定資産税が課され、市街化区域内であれば都市計画税も加わります。住宅が建っている土地には課税標準を軽減する住宅用地特例がありますが、更地にすると適用外となり、税額が上がる点には注意が必要です。

 

区分 固定資産税の課税標準 都市計画税の課税標準

小規模住宅用地
(200㎡以下の部分)

評価額の6分の1 評価額の3分の1
一般住宅用地
(200㎡超の部分)
評価額の3分の1 評価額の3分の2
更地・非住宅用地 軽減なし 軽減なし

 

「空家等対策の推進に関する特別措置法」にもとづき、管理不全空家等や特定空家等について市区町村から勧告を受けた場合は、建物が残っていても住宅用地特例の対象外となります。その結果、固定資産税などの負担が増える可能性があるため、適切な管理を続けることが重要です。

維持管理費

土地は所有しているだけで手間と費用がかかります。雑草が伸びれば草刈りが必要になり、遠方であれば往復の交通費も加わります。

管理を業者に委託すれば年間数万円規模の支出が続き、売却の目処が立たないまま出費だけが積み重なる状態になります。

事故や近隣トラブルにつながる可能性

管理が行き届かない土地は、雑草や害虫の発生源となって近隣から苦情が寄せられます。不法投棄の場に使われたり、ごみの放置によって景観が損なわれたりする例もあります。

老朽化した建物が残っている場合は、外壁材の落下や倒壊によって通行人や隣家に被害が及べば、土地工作物責任として所有者が損害賠償を求められる可能性があります。

「負動産」を残してしまう可能性

問題を先送りすれば、次の世代がそのまま引き継ぐことになります。相続が繰り返されると権利関係が複雑化し、所有者の把握すら困難になります。

国土交通省の調査によると、不動産登記簿だけでは所有者の所在が判明しない土地の割合は全国で23%に及び、その発生原因のうち63%は、相続時に登記の名義変更をしていないことでした(出典:政府広報オンライン )。負担を抱えたまま放置することは、子や孫に選択肢のない資産を残す結果につながります。

 

相続した売れない土地の処分方法

相続した売れない土地の処分方法

売れない土地にも、状況に応じた出口はあります。売却の工夫から公的制度の利用まで、実行しやすい順に選択肢を検討していきましょう。

売り出し価格を下げて売却する

長期間反応がない場合、価格が相場から乖離している可能性があります。近隣の成約事例と比べて割高であれば、値下げによって問い合わせが動き出すことがあります。

売却によって手元に残る金額と、所有し続けた場合に今後10年20年で支払う税金・管理費を並べて比べると、判断の基準が明確になります。極端なケースでは、無償に近い条件でも手放したほうが経済的に合理的だと判断されることもあります。

不動産会社を変更して売却する

同じ土地でも、依頼先によって売却活動の質は変わります。地方の土地や農地・山林は、地元の事情や買い手のネットワークを持つ会社のほうが成約に結びつきやすい傾向があります。

媒介契約が専任媒介・専属専任媒介であれば有効期間は最長3か月なので、期間満了のタイミングで会社を見直す方法があります。販売図面の内容や広告の掲載状況を確認し、活動報告が形式的になっていないかを点検してみてください。

不動産買取業者に買い取ってもらう

仲介で買い手が見つからない土地は、業者に直接買い取ってもらう方法があります。価格は仲介での相場より低くなりますが、現況のまま短期間で現金化でき、契約不適合責任を免除してもらえるケースが多い点はメリットです。

再建築不可の土地や残置物のある物件を専門に扱う業者もあり、複数社に査定を依頼して条件を比較する価値があります。買取を装って高額な引き取り費用を請求する事業者も存在するため、契約前に費用の内訳を書面で確認しておきましょう。

自治体や法人などへの寄付を検討する

寄付という選択肢もありますが、実現のハードルは高めです。自治体は寄付を受けると固定資産税収を失い、管理責任を負うことになるため、公共事業に使える見込みがある土地でなければ受け付けないのが一般的です。

近隣の法人や、隣地の所有者に譲渡を打診する方法のほうが現実的な場合もあります。個人間で土地を無償譲渡する場合は、土地の評価額やその年に受けたほかの贈与の状況などによって、受け取る側に贈与税が課される可能性があります。無償であれば税負担もないとは限らないため、事前に税理士や税務署へ確認しておくと安心です。

土地を売れやすい状態に改善する

売却を妨げている要因が明確なら、それを取り除くことで買い手の反応が変わります。費用をかけた分を売却価格で回収できるかどうかを見極めながら、優先順位をつけて進めることが大切です。

境界を確定する

土地家屋調査士に依頼して確定測量を行い、隣地所有者の立会いのもとで境界を確定させます。境界確定測量図と筆界確認書がそろえば、買主は購入後の紛争リスクを気にせず検討できます。

費用は土地の広さや隣接地の数、道路との関係によって変動し、官民境界の確定が必要な場合は期間も長めに見込む必要があります。売却だけでなく、国庫帰属制度の申請でも境界の明確さは必須条件になるため、投じる価値の大きい費用といえます。

古家を解体する

老朽化した建物を解体して更地にすれば、買主は購入後すぐ建築計画を立てられます。解体費用は構造や立地によって差があり、木造よりも鉄骨造・鉄筋コンクリート造のほうが高額です。

重機が入れない狭あい道路沿いでは手壊しの割合が増え、費用が上振れします。

自治体によっては老朽危険家屋の除却に補助金を設けているため、着工前に窓口へ問い合わせておくとよいでしょう。更地にすると住宅用地特例が外れるため、解体の時期は売却の見通しと合わせて決めることをおすすめします。

相続土地国庫帰属制度を利用する

2023年4月に始まった相続土地国庫帰属制度は、相続や遺贈で取得した土地を、一定の要件を満たす場合に国へ引き取ってもらえる仕組みです。制度開始前に相続した土地も対象になります。

項目 内容
申請できる人 相続・遺贈により土地の所有権または共有持分を取得した人
申請先 土地が所在する都道府県の法務局・地方法務局(本局)
審査手数料 土地1筆あたり14,000円(取下げ・却下・不承認でも返還されない)
負担金 原則20万円。市街化区域内の宅地や農用地区域内の農地、すべての森林は面積に応じて算定

出典:法務省「相続土地国庫帰属制度の概要」

建物が建っている土地や、担保権・使用収益権が設定されている土地などは、申請できない土地として却下の対象になります。また、所有権の存否や範囲について争いがある土地なども対象になりません。

申請できた場合でも、一定の基準を超える崖があり、通常の管理に過分な費用や労力を要する土地や、通常の管理・処分を妨げる工作物や樹木などが存在する土地は、不承認となる場合があります。

法務省「相続土地国庫帰属制度の統計」によると、2026年8月31日時点の申請件数は5,997件、国庫への帰属が認められた件数は3,119件でした。却下は85件、不承認は100件、取下げは1,139件となっています。制度の利用を検討する過程で、自治体による活用や隣接地所有者への譲渡など、国庫帰属以外の処分方法が見つかるケースもあります。

 

売れない土地を相続したくない場合は相続放棄できる?

売れない土地を相続した場合の相続放棄

相続放棄は、家庭裁判所に申述することでプラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継がない手続きです。原則として、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に手続きを行う必要があります。

注意したいのは、財産を選んで放棄することはできない点です。売れない土地だけを手放し、預貯金や自宅は相続するという使い方は認められません。放棄すれば最初から相続人でなかったことになるため、他の遺産に対する権利もすべて失います。土地以外にまとまった財産がある場合は、放棄よりも相続したうえで国庫帰属制度や買取を検討したほうが有利になるケースが多くなります。

相続放棄をすると、次の順位の相続人へ権利が移ります。子が全員放棄すれば親、親がいなければ兄弟姉妹へと承継が進むため、事前に事情を共有しておかないと、疎遠な親族が突然通知を受け取る事態を招きます。

相続人全員が放棄した場合は、必要に応じて利害関係人などが家庭裁判所へ相続財産清算人の選任を申し立てることがあります。清算手続きの結果、最終的に残った財産が国庫に帰属する場合もあります。

なお、申立ての際には、相続財産の状況によって、相続財産清算人の報酬や管理費用などに充てるための予納金を求められることがあります。必要な金額は裁判所や財産状況によって異なり、高額になるケースもあります。

相続放棄後も土地の保存義務が残るケースに注意

相続放棄をしたからといって、必ずその財産との関わりが直ちになくなるとは限りません。民法第940条では、相続放棄をした人が、放棄した時点で相続財産を現に占有している場合、相続人や相続財産清算人などに引き渡すまでの間、自己の財産と同一の注意をもってその財産を保存しなければならないと定められています。

2023年4月1日に施行された改正民法により、この保存義務を負うのは、相続放棄の時点でその財産を「現に占有している」人に限定されました。ただし、どのような状態が「現に占有している」にあたるかは、財産の種類や管理状況など個別の事情によって判断されます。

相続放棄を検討する際に、対象となる土地や建物を自分が管理・占有している可能性がある場合は、弁護士などの専門家へ確認しておくと安心です。

 

売れない土地でも相続登記は必要

売れない土地であっても、相続した以上は名義変更の手続きが求められます。2024年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の適用対象になりました。

相続によって不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつその不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に申請しなければなりません。施行日より前に発生した相続も対象で、その場合の期限は2027年3月31日です(出典:法務省「相続登記の申請義務化について」)。

 

状況 申請期限
2024年4月1日以降に取得を知った場合 知った日から3年以内
それ以前に取得を知っていた場合 2027年3月31日まで
遺産分割が成立した場合 成立した日から3年以内

 

過料は期限を過ぎた時点で自動的に科されるものではなく、登記官が義務違反を把握した際に相当の期間を定めて催告し、正当な理由なく応じない場合に裁判所へ通知される運用です。

相続した土地を売却する場合には、原則として相続登記を行い、相続人へ名義を変更したうえで買主への所有権移転登記を行うことになります。一方、相続土地国庫帰属制度については、相続登記が完了していない土地でも、相続などによって土地の所有権を取得したことを戸籍などの書類で証明できれば申請できる場合があります。

ただし、相続登記には法定の申請期限があり、正当な理由なく義務を履行しなかった場合には過料の対象となる可能性があります。土地を将来的に手放す予定であっても、相続登記の期限は別途確認しておく必要があります。

期限内に相続登記ができない場合は「相続人申告登記」

遺産分割協議がまとまらず、期限内に名義を確定できないこともあります。そうした場合に備えて設けられたのが相続人申告登記です。

登記名義人について相続が開始したことと、自分がその相続人であることを法務局へ申し出る簡易な手続きで、3年以内に申出をすれば申請義務を履行したものとみなされます。他の相続人の同意や押印は不要で、単独で申し出ることができます。必要書類も申出人が相続人であることを示す戸籍謄本など限られた範囲で済むため、被相続人の出生から死亡までの戸籍をすべて集める通常の相続登記に比べて負担は軽く済みます。

ただし、この手続きは誰が不動産を取得したかを公示するものではないため、申出だけでは売却や担保設定はできません。遺産分割が成立したら、その日から3年以内に改めて正式な相続登記を申請する必要があります。あくまで期限を守るための暫定的な措置と位置づけ、協議の決着後は速やかに本来の登記へ進めましょう。

 

相続した売れない土地に関する相談は加瀬グループまで

相続した土地がなかなか売れない場合でも、土地の条件や売却方法を見直すことで、買い手が見つかることがあります。まずは、その土地が売れない原因を整理し、適切な売却方法や価格を検討することが大切です。
加瀬グループでは、相続した土地をはじめ、不動産の売却に関するご相談を承っています。立地や形状などの理由から売却が難しいと思われる土地についても、状況を確認したうえで売却方法をご提案します。
相続した土地を手放したいものの、売れるかどうかわからない、どこに相談すればよいかわからないという方も、まずはお気軽にご相談ください。

 

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加瀬グループ編集部
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加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
当社の豊富な経験や実績をもとに、不動産活用でお悩みのオーナー様に便利でわかりやすい情報をお届けします。

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