アパートを相続したくない!相続放棄の手順や相続するか悩んだときの判断
アパートを経営していた親や親族が亡くなり、自分が相続人になってしまったとしたら、アパートも相続財産の対象になります。
しかし、アパートの収益性があまりよくない、責任を負いたくない、などの理由で、アパートを相続したくないときはどうすればよいのでしょうか。
相続人の間で話し合いをして、ほかの人に相続してもらえればよいのですが、相続希望者がいない、相続人が自分ひとりの場合などは、相続放棄といったことも考えられます。
その他にも、相続したアパートを売却したり、収益改善したりといった選択肢についても検討しましょう。
目次
相続をしたくないときの手続き「相続放棄」とは
相続放棄とは文字通り、相続を行わないことを法的に宣言する手続きです。相続放棄の具体的な手順を紹介します。
手順1:相続放棄に必要な書類を準備する
相続放棄を行うには、相続放棄申述書という書類が必要です。これが、いわば相続放棄の申込書類のようなものです。
相続放棄申述書は家庭裁判所で入手できますが、インターネットからダウンロードすることも可能です。詳しくは、裁判所の「相続の放棄の申述書(成人)」を確認しましょう。
加えて、自身の相続人としての立場を明らかにするものや、亡くなった方との関係を証明するための書類が必要です。具体的には次のようなものです。
- 相続放棄する人の戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)
- 被相続人の住民票除票(または戸籍の附票)
亡くなった人との関係性によっては、ほかにも書類が必要なケースがあります。
また、収入印紙代800円のほか、郵便切手が必要です。各種の書類を入手するための手数料なども考慮しておきましょう。
手順2:財産調査を行う
相続放棄をするかしないに関わらず、相続にあたっては亡くなった人の財産をすべて確認して把握しなければなりません。
本来、相続放棄とは、負債などマイナスの相続財産のほうがプラスの相続財産より大きいときに行う手続きです。実際、亡くなった人がどのような資産や負債をどれだけ遺したのかの調査は欠かせません。
もし、財産の把握に抜け漏れがあると、手続きのやり直しになったり、相続放棄ができなかったりするリスクもありますので、しっかりと行いましょう。事情が許せば、弁護士など専門家のサポートを受けるのが確実です。
手順3:家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
亡くなった人の最後の住所を管轄する家庭裁判所で、相続放棄の手続きを行います。
申し立てのあと、約10日で家庭裁判所から相続放棄に関する照会書が送付されます。送付書に必要事項を記入して再送しましょう。
さらに約10日後、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が送付されます。これで相続放棄が正式に認められ、手続きは完了です。
アパートを相続するか放棄するかは、どこで判断する?
アパートの相続をするべきか、放棄するべきか、どのように判断すればよいでしょうか。
相続放棄をするとメリットがあるケースを紹介します。また、相続放棄の注意点もしっかりと理解してから判断しましょう。
全体としてマイナスの財産が大きいとき
すでに述べたように、基本的に相続放棄はマイナスの相続財産(負債)のほうがプラスの相続財産より大きいときに行います。相続するメリットがないからです。
アパート自体は資産ですから、プラスの財産です。しかし、財産調査の結果、ほかに多額の負債があり、アパートの資産価値と負債残高を相殺すると負債のほうが上回る場合、相続は放棄すべきといえます。
額面上はアパートの資産価値のほうが高い、あるいは特に負債はない、という場合でも、アパートを相続してしまうと発生する責任や、以後の管理の手間などが負担だという場合は、やはり放棄が適切です。
ただし、相続放棄はすべての相続財産に対して行うものです。アパートだけの放棄はできず、ほかにプラスの財産があっても、それも含めて放棄する必要があります。
遺産分割が難しく、トラブルになりそうなとき
相続人が何人かいる場合で、特に遺言などもないときは、相続人間で遺産を分割する話し合いを行います。全員が納得する分割ができればよいですが、そうでない場合、トラブルに発展するおそれがあります。
このとき、アパートなどの不動産は、すぐに換金できないなどの理由で、相続財産としては扱いが厄介なものです。
極論にはなりますが、相続放棄をしてしまえば、そのような親族間の相続争いなどに巻き込まれることはありません。
相続放棄の注意点
相続放棄を検討するとき、注意したいポイントを整理しておきましょう。
相続放棄ができる期限は原則3カ月以内
相続放棄には期限があります。相続人は、自身に相続があることを知った日から3カ月以内に、相続をするか、しないか(=相続放棄)を決めなくてはなりません。自身に相続があることを知った日は、通常、相続財産の持ち主だった人が亡くなった日です。
この3カ月のことを「熟慮期間」と呼びます。
熟慮期間内に相続放棄の手続きを行わなければ、相続を承認したとみなされ、あとで取り消せません。
どうしても3カ月以内で判断ができないときは、家庭裁判所に期限の延長を申し立てられますが、この申し立て自体も熟慮期間内に行う必要があります。
相続放棄はすべての財産に対する放棄になる
前述したとおり、相続財産の放棄は、そのすべてに対しての放棄となります。プラスの財産だけを相続して、マイナスの財産は放棄するという都合のよい相続のしかたはできません。
ただし、プラスの財産の範囲でマイナスの財産を部分的に相続する限定承認という方法はあります。
とはいえ、アパートを相続放棄するなら、それ以外の現預金や株式、ほかの不動産といった財産はすべて放棄する必要があります。なお、自分が受取人となっている生命保険金などの例外はあります。
アパートの扱いは慎重に
相続放棄をするつもりでも、それが完了するまでに相続財産を処分するなどすると、財産に関わる意志があるものとして、相続を承認したとみなされてしまうケースがあります。これを法廷単純承認といいます。
財産の処分(売却)が代表的な例ですが、アパートの場合、賃貸人からの賃料を受け取ってしまった場合などがこれにあたる可能性があります。相続放棄をしたい場合、専門家のアドバイスなども聞きながら慎重な対応が必要です。
ほかに相続人がいるときは事前に相談が必須
相続放棄は、相続人が単独で自由に行えます。とはいえ、ほかに相続人がいる場合は事前に相談をしておくべきでしょう。
自分が相続放棄をすれば、アパートなどの財産は、ほかの相続人が相続することになります。自分が相続したくないと考えた財産は、ほかの相続人も同様に考える可能性が高いので、何の相談もなく相続放棄をするとトラブルを招くリスクがあります。
アパート相続を放棄する以外の選択肢
相続放棄にはデメリットもあります。それでは、相続放棄以外にはどのような選択肢があるでしょうか。
売却する:売れる物件なら売る
相続したあとに売却してしまえば、そのあとの管理の手間などはありませんし、売却の利益が出る可能性もあります。
売りたい場合は、アパートのような物件を売るのが得意な不動産会社に仲介を依頼するのがよいでしょう。長く売れない場合、維持コストや管理の手間が重なってしまうので、売るつもりなら早めの売却がベストです。
ただし、相続の際に相続税を軽減するための特例を使用している場合など、一定期間、事業の継続が必要な場合もあるため注意しましょう。
取り壊す:住人の立ち退きや解体の費用が必要
相続したうえで、賃貸業は終了とし、アパートを取り壊してしまう方法もあります。
当然ながら、現在の住人には立ち退いてもらう必要があるため、立退料などが発生するでしょう。もちろん、解体の費用もかかります。
さらに、更地になったまま土地を所有し続けると、土地にかかる固定資産税を負担します。土地に課税される固定資産税は、上に建物が建っている状態だと軽減される特例があるため、更地になると税負担は増すおそれがあります。
収益する:実績が豊富な管理会社に任せると手間がかからない
相続し、賃貸業を引き継ぐことも可能です。うまくいけば、継続した収入が得られるので、結果としてはメリットが大きい可能性もあります。
とはいえ、アパートを相続したくないと考える理由として、以下のような人が多いのではないでしょうか。
- アパート経営の業務ができるのかわからない
- 利益が出せるのか心配
そんな場合は、パートナーとなる良質な管理会社などを見つけることが大切です。すでに管理会社があるが、相続以前は利益が出ていなかったという場合は、管理会社を変えることも検討しましょう。
管理会社に任せれば、集客や管理などの手間はかかりません。放棄してしまうのは簡単ですが、せっかくアパートが手に入るのなら、生かしてみる道を探るのもひとつの方法といえるでしょう。
相続人が会社員や本業ある場合、アパートを経営していくための労力が割けないケースもあるでしょう。その場合は、管理会社が一括でアパートを借り上げ、一切の手間をかけず、安定した賃料収入を得られる、サブリースという管理方法もあります。
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