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空き家は賃貸と売却どちらがいい?判断基準や注意点を解説

空き家は賃貸と売却どちらがいい

相続や転居などを機に空き家を抱えるオーナーが増えています。総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家総数は900万戸に達し、社会問題として広く注目されるようになりました。

空き家は放置すればコストがかさむ一方、賃貸・売却どちらが適切かは物件の状態やエリアによって大きく異なります。ここでは、それぞれの選択肢が向いているケース・注意点を整理します。

 

空き家を賃貸に出したほうがいいケース

家賃収入を得ながら資産を保有し続けられる点が最大の魅力ですが、すべての物件が賃貸向きとは限りません。どのような条件がそろっていれば賃貸活用が有力な選択肢になるのか、代表的なポイントを確認しておきましょう。

駅近や需要エリアに物件がある

賃貸経営の成否は立地に左右される部分が大きく、最寄り駅から徒歩10分以内の物件や、大学・オフィス街・病院などの施設が近い物件は入居者が付きやすいと考えられています。

首都圏・大都市圏の主要エリアや、人口が一定数維持されている地方都市の中心部なども需要が見込めます。逆にいえば、こうした立地条件が整っているのであれば、売却してしまうより賃貸で継続収入を得るほうが長期的に有利になるケースが多いです。

賃貸需要の目安としては、周辺の賃貸物件の空室率が低い、または同エリアでの募集期間が短いことが挙げられます。地元の不動産会社に相談し、そのエリアで同タイプの物件に入居者が付いているかどうかを確認したうえで判断するようにしましょう。

比較的新しい建物である

建物の築年数も重要な判断基準です。1981年6月1日以降に建築確認を経て建てられた新耐震基準適合の物件であれば、入居者の安心感を得やすく、大規模な耐震補強工事を求められる可能性も低くなります。

水回りや内装の状態が良好であれば、最低限の原状回復リフォームのみで賃貸に出せるため、初期投資を抑えられます。

一般的に、戸建て空き家の賃貸転用にかかるリフォーム費用は部分補修で数十万円〜200万円程度、フルリフォームになると1,000万円超になる場合もあるため、建物の状態が初期コストに直結します。

将来的に戻って住む可能性がある

転勤や親の介護などを理由に一時的に居住できなくなった場合、将来的に自分や家族が再び住む可能性があるなら売却は避けたほうが無難です。

売却してしまうと買い戻しには多額の費用がかかるうえ、条件の良い物件が同じエリアで見つかるとは限りません。賃貸に出しておけば資産を手元に残したまま一定の収入を得られ、将来の選択肢を広げておくことができます。

定期借家契約を活用すれば、あらかじめ定めた期間が満了すれば確実に退去してもらえるため、将来の自己利用を想定している場合に適しています。通常の普通借家契約は借主の権利が強く、オーナー側の都合だけでは解約できないのに対し、定期借家契約は期間を明示した書面が必要なものの、期間終了とともに契約が終了する仕組みになっています。

空き家を賃貸にする際の注意点

賃貸転用はメリットばかりではありません。事前にリスクと継続コストを把握しておくことが大切です。

空室リスクがある

入居者が付かない期間は家賃収入がゼロになる一方、固定資産税や建物の維持費は発生し続けます。

国土交通省の「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」によると、空き家の取得経緯の約55%が相続であり、所有者の約3割は現地から車・電車で1時間超の遠隔地に居住しています。

国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」より

出典:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

物件から遠い場所に住んでいる場合、空室状態の長期化に気付きにくいリスクもあります。

修繕費や管理費が継続的に発生する

賃貸経営では、入居者の退去ごとに原状回復費用が生じるほか、設備の経年劣化に伴う修繕費が継続的に発生します。

屋根・外壁・給湯器・エアコンなどの設備は10〜15年を目安に交換や修繕が必要になることが多く、長期的なコスト計画が欠かせません。管理会社に委託する場合は、家賃の5〜10%程度を管理手数料として支払うのが一般的です。

管理費用込みの収支を事前にシミュレーションしておくことが、賃貸経営を判断するうえで欠かせません。

古い物件は入居者が決まりにくい

築年数が経過した物件、特に旧耐震基準の戸建てや、水回りが著しく老朽化した物件は入居者を見つける難易度が高まります。

賃貸に出すには耐震補強を含む大規模リフォームが必要になり、投資回収までの期間が長くなることも少なくありません。リフォームに多額の費用をかけても、立地や間取りの問題から入居者が付かない場合もあるため、費用対効果を慎重に見極める必要があります。

管理会社とのやり取りが必要になる

賃貸経営は入居者の募集から契約、クレーム対応、退去精算まで、継続的な運営が伴います。自主管理の場合は手間と時間がかかるため、多くのオーナーは管理会社に委託します。

ただし、管理会社の質によってはトラブル対応が遅れたり、入居者との関係が悪化したりするケースもあるため、委託先の選定は慎重に行いましょう。複数の管理会社を比較し、管理実績や対応力を確認することをおすすめします。

 

空き家を売却したほうがいいケース

空き家を売却

売却が向いているケースも少なくありません。管理の手間やコストから解放されたい、まとまった資金が必要といった事情を抱えている場合は、売却が現実的な選択肢になります。

地方や需要が少ないエリアにある

人口減少が進む地方では賃貸需要そのものが限られており、入居者の確保が難しい物件が多数存在します。需要の薄いエリアでは空室リスクが高く、賃貸経営として成立しにくいため、売却によって現金化を優先するほうが合理的な判断になる場合があります。

老朽化が進んでいる

建物の劣化が著しい場合、賃貸に出すためのリフォーム費用が膨らみ、投資回収の目処が立ちにくくなります。

また、放置すると建物の状態がさらに悪化し、売却価格も下落していく可能性があります。2023年12月に施行された改正空家対策特別措置法では、管理が不十分な「管理不全空き家」も特定空き家と同様に住宅用地特例の対象から外れ、固定資産税が最大6倍になる可能性が生じました。

老朽化が進んでいる物件は、早めに売却を検討するほうがリスクを抑えられます。

管理が負担になっている

遠方に居住していると、空き家の定期的な見回りや草刈り、清掃、修繕対応などが大きな負担になります。

先出の「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」では、空き家の管理に関する心配事として「住宅の腐朽・破損の進行」が最多の58.0%、「樹木・雑草の繁茂」が41.9%となっており、遠隔地から管理を続けることの難しさがわかります。
国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性」より

出典:国土交通省「空き家政策の現状と課題及び検討の方向性

管理委託で一部は対応できますが、それでもコストと手間がかかります。管理状況の悪化が続くようであれば早期に売却を含めた対応を取ることが重要です。

相続人同士で早く整理したい

相続によって空き家を取得した場合、複数の相続人が共有名義になっているケースでは、賃貸経営の意思決定が難しくなります。

誰が管理主体となるのか、修繕費用はどう分担するのかといった問題が生じやすく、関係者間の摩擦につながることもあります。早期に整理して相続人全員で売却益を分割するほうがシンプルで、遺産分割のトラブルを回避しやすい面があります。

空き家を売却するデメリット

売却には資産を手放すという側面があり、注意すべき点もあります。

資産を手放すことになる

売却すると、当然ながらその物件は二度と自分のものではなくなります。将来的に地価が上昇した場合や、再び住みたいと思った場合でも取り戻すことはできません。

特に都市部の需要エリアに立地する物件は、長期保有や賃貸活用のほうが結果的に有利になる可能性があるため、売却前に将来的な資産価値の見通しも検討しておくべきでしょう。

売却価格が希望より低い場合がある

空き家は通常の中古住宅と比べて価格が低く設定されやすい傾向があります。

老朽化が進んでいる、再建築不可の物件である、境界が不明確といった事情があるとさらに査定額が下がります。

また、売却活動が長引くほど物件の印象が下がるリスクもあるため、不動産会社の選定と適切な価格設定が重要です。複数社に査定を依頼し、相場感を把握したうえで価格を決めましょう。

譲渡所得税が発生する可能性がある

不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、所得税・住民税が課税されます。

ただし、相続した空き家を一定要件を満たして売却する場合は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除(3,000万円特別控除)」が適用できます。
この特例の主な要件は以下のとおりです。

 

要件 内容
対象建物   昭和56年5月31日以前に建築された区分所有建物以外の家屋
居住状況   相続開始直前まで被相続人のみが居住していたもの
売却時期   相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
売却価格   1億円以下
建物の状態   耐震改修済みまたは取壊し後の土地として譲渡(2024年1月以降は買主が翌年2月15日までに工事を完了した場合も対象)

 

出典:国土交通省「空き家の発生を抑制するための特例措置

2024年1月の改正で制度が使いやすくなり、適用期限も2027年12月31日まで延長されました。ただし要件が細かく、適用を受けるには確定申告が必要です。売却前に税理士や不動産会社に相談することをおすすめします。

 

空き家を賃貸・売却する前に確認すべきポイント

空き家を賃貸・売却する前に確認すべきポイント

賃貸・売却のどちらを選ぶにしても、事前に確認しておくべき共通事項があります。準備が不十分なまま進めてしまうと、手続きが滞ったり余計なコストが発生したりするリスクがあります。

名義変更が済んでいるか確認する

空き家を相続で取得した場合、相続登記(所有権移転登記)が完了していないと、賃貸借契約の締結も売買契約の締結もスムーズに進みません。

2024年4月1日より相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記しなければ10万円以下の過料が科される可能性があります。まず登記事項証明書(登記簿謄本)を取得して名義を確認し、未登記であれば司法書士に相談して速やかに手続きを済ませましょう。

境界線や再建築可否を調べる

隣地との境界が不明確な場合、売却時に買主から値引き交渉を受けたり、将来的なトラブルの原因になったりする可能性があります。土地家屋調査士に依頼して境界確定測量を行っておくと、スムーズに取引を進められます。

また、接道要件(建築基準法上、幅員4m以上の道路に2m以上接している必要がある)を満たしていない物件は「再建築不可」となり、売却価格に大きく影響します。古い住宅地や旗竿地では再建築不可の物件が少なくないため、事前に確認しておくことが重要です。

建物の状態を調査する

賃貸に出す場合も売却する場合も、建物の現状を正確に把握しておくことが出発点になります。

インスペクション(既存住宅状況調査)を活用すると、構造躯体や雨漏りの有無、設備の状態などを専門家が診断してくれます。診断結果をもとにリフォームの優先順位を決めることで、無駄な費用を抑えながら物件の価値を高めることができます。

インスペクションの費用は戸建て1棟あたり3万〜5万円程度が目安です。売却時は「インスペクション済み」として売り出せるため買主の安心感につながり、賃貸時はリフォーム計画の根拠として活用できます。空き家の状態が長期間不明な場合は、シロアリ被害や雨漏りが進行していることもあるため、早めの調査をおすすめします。

周辺エリアの賃貸需要・売却相場を把握する

同じエリアで類似物件がどの程度の家賃や売却価格で取引されているかを調べることが、現実的な条件設定の第一歩です。

不動産ポータルサイトなどを確認し、物件の周辺の相場を把握するほか、自治体によっては空き家活用の補助金や空き家バンク制度を設けているケースもあるため、市区町村の窓口へ問い合わせてみることもひとつの手です。

 

空き家に関する相談は加瀬グループまで

空き家は、賃貸として活用するか、売却して現金化するかによって、必要な準備や手続き、税金の取り扱いが異なります。また、建物の状態や立地、市場の需要によっても最適な選択肢は変わるため、「どちらがお得か」を一概に判断することはできません。

「賃貸に出した場合の家賃相場を知りたい」「売却した場合はいくらで売れるのか知りたい」「相続した空き家をどうすべきか迷っている」といった場合は、早めに不動産会社へ相談することをおすすめします。専門家に相談することで、賃貸・売却それぞれのメリット・デメリットを比較し、ご自身の状況に合った活用方法を検討できます。

加瀬グループでは、お客様の資産に合わせた土地活用をご提案しています。老朽化した空き家の維持管理にお悩みの方や、敷地を有効活用して安定した収入を得たいとお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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加瀬グループ編集部
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