市街化調整区域の土地を手放したいならどうする?売る以外の方法はないのか
市街化調整区域は市街化を抑制するために定められた区域です。そのため、生活インフラが整備されていません。また、商業施設もないため、生活するには不便な区域です。
そのため、市街化調整区域の土地を手放したいと考えている方もいるでしょう。
一般的には売ることを検討しますが、それ以外にも選択肢はあります。本記事でいくつか紹介するので、幅広い候補から自分に合った方法を検討してみましょう。
目次
市街化調整区域を手放したい、その理由
市街化調整区域の概要やその確認方法、所有している方が土地を手放したいと考える理由を確認してみましょう。
市街化調整区域とは
市街化調整区域とは、市街化を抑制して農地を守ることを定めた区域のことです。無秩序な都市化を制限するため、1968年に都市計画法が制定されました。
都市化を抑制することを目的としているため、基本的には建物を新しく建てることはできません。
例外として、農家住宅や林業や漁業を営むための建物であれば建てることが許されています。
また、市街化調整区域で建て替えや用途を変更する場合、自治体の許可が必要です。
しかし、市街化調整区域は都市化を抑制することが目的であるため、よほどの理由がなければ、建て替えや用途変更の許可が下りません。そのため、使い道のない土地を持て余す方が増えています。
市街化調整区域の確認方法
所有している土地が市街化調整区域かどうかを調べる方法として手軽なのは、インターネットサービスです。多くの自治体で都市計画マップが提供されているので、「地域名 市街化調整区域」で検索してみましょう。
ただし、すべての自治体で都市計画マップが提供されているわけではありません。都市計画マップが見つからない場合は、役所の都市計画課窓口で確認しましょう。
また、土地の地目の確認も必要です。土地の地目は、田や畑、宅地などの23種類に区分されています。
地目が農地の場合、農業委員会の審査を通過して許可を得なければ、売却や用途変更はできません。売却自体も、実態のある農業従事者にしかできません。
市街化調整区域を手放したい理由とは
市街化調整区域を所有している方が土地を手放したいと考える理由として、以下のような制限があるからだと考えられます。
生活インフラが整っていない
市街化調整区域は都市化を抑制するため、電気やガス、水道といった生活インフラが整っていません。特に水道に関しては、下水道が整備されているケースはまれです。
生活インフラが整っていない土地は使い道が難しいため、手放したいと考えるでしょう。
ローンが下りない
市街化調整区域の土地は評価額が低いため、ローンの担保として認められない場合があります。
一般的に、土地や建物はローンを組んで購入します。ローンは不動産である土地を担保として貸し付けてくれますが、その土地が担保にならない場合、ローンが下りません。
商業施設がない
市街化調整区域は都市化を抑制しているため、スーパーやコンビニエンスストアなどの商業施設がありません。
その不便さから、市街化調整区域の土地を手放したいと考えるのは、自然なことでしょう。
市街化調整区域の評価
市街化調整区域の土地の固定資産税評価は、周辺の市街化区域と比較すると20〜30%下がります。
市街化調整区域は、前述したとおり、生活インフラが整備されていないだけでなく、商業施設もありません。今後も環境が改善される可能性がないことから、なかなか買い手がつきません。
そのため、価格を下げざるを得なくなり、結果として、固定資産税評価額も低評価になってしまうということです。
市街化調整区域を手放す方法
現在では、農地は農地法によって購入者が農業従事者のみに限られているため、そのまま売却することは難しいです。
そのため、市街化調整区域の土地を手放すには、以下の方法があります。
- 転用して売却
- 空き家バンクに登録
- 専門の仲介業者へ依頼
それぞれ確認してみましょう。
転用して売却
農家人口は年を追うごとに減少しています。農地をそのまま売却することは難しいため、農地以外の用途で使えるように農地転用する方法があります。
ただし市街化調整区域の農地は、都市計画法と農地法の両方により保護されています。そのため、事前に都道府県知事に農地転用の許可申請を出す必要があります。
また、農業振興地域に指定されている土地の場合、農振除外申請も必要です。農振除外申請は半年に1度しか申請できないうえに、申請から完了まで長期間かかります。1年以上かかる場合もあるため、注意しましょう。
空き家バンクに登録
近年は地方へ移住する方が増加しています。移住希望者へ物件情報を提供するサービスとして、空き家バンクに取り組んでいる自治体もあります。
所有している土地について、所管の自治体に空き家バンクサービスに類するものがあれば、登録してみるのもひとつの方法です。
地方へ移住を考えている人は、一般の不動産を求めている人とはニーズが異なります。移住希望者は昔ながらの家を好む方もいるため、通常の不動産売却と平行して登録すれば、売却の可能性も上がるでしょう。
専門の仲介業者へ依頼
市街化調整区域の土地は価格が低くなるため、不動産事業者にとっては利益が少ない物件です。現地調査や案内などにかかる手間や経費で赤字になってしまうケースもあるため、不動産業者は積極的に取り扱おうとしません。
その場合は、市街化調整区域を専門とする仲介業者へ相談しましょう。
専門の仲介業者であれば、実績やノウハウがあるため、一般の不動産会社よりも積極的に相談に乗ってくれます。
手放さずに活用する
市街化調整区域の土地は簡単に売却できるわけではありません。土地は売却するのではなく、ほかの用途で活用していくのもよいでしょう。
資材置き場
市街化調整区域の土地を手放さずに活用する方法として、資材置き場があります。企業に土地を貸し出すだけで、運営や管理をする必要がないため、労力をかけることなく収入を得ることが可能です。
資材置き場の需要は立地条件に左右されません。駅から遠く、近くに商業施設がない立地であっても、借り手を見つけられます。ただし、土地を貸すだけなので大きな収入は得られません。
土地を手軽に活用したい方にはおすすめの活用方法です。
太陽光発電
太陽光発電設備は建築基準法では建物には該当しないため、設置の許可をもらう必要はありません。
そのため、市街化調整区域の土地を活用する有効な方法です。
一定規模の発電システムを持つフィールド設置型の太陽光発電設備であれば、固定価格買取制度が適用になるため、安定した収入を得ることが可能です。メンテナンス費用はかかるものの、ランニングコストを抑えたうえで、安定して収入を得たい方におすすめです。
高齢者向けの施設
市街化調整区域は都市化を抑制することが目的のため、自由に建物をつくることは認められていません。
しかし、高齢者向けの施設は例外です。一定の要件を満たして審査を通過すれば、建築の許可がもらえます。
高齢化社会の現在では、特別養護老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などの高齢者向け施設の需要が高まりつつあります。初期費用はかかるものの、高い収益化を見込めます。
また、高齢者向けの施設は、駅や商業施設に近い立地が適しているわけではありません。落ち着いて生活したい高齢者の方にとっては、市街地調整区域のような落ち着いた場所のほうが好まれるという声もあります。
立地条件や収益性の高さで非常に優れた活用方法といえそうです。
日用店舗
市街化調整区域で、高齢者向けの施設以外にも建物を建てる許可が下りるケースがあります。それは、農家の人たちの生活に必要と判断された店舗です。
飲食店やコンビニ、薬局といった店舗は、農家の方たちの生活に必要な店舗です。そのため、このような店舗を経営することも、市街化調整区域の土地を活用する選択肢のひとつになるのです。
市街化調整区域の活用は加瀬グループにご相談ください!
前述したような、建築許可が下りるような活用方法でも、細かな建物の基準が設けられています。
市街化調整区域の土地にはさまざまな制限があるため、専門的な知識がない状態で活用方法を考えることは困難で、失敗の要因になりえます。
加瀬グループでは、市街化調整区域における土地活用の実績も豊富にあります。お客様が所有する土地の条件に適した活用方法を、幅広くご提案いたします。
物件の借り上げや買取も積極的に行っていますので、ぜひ一度、加瀬グループにご相談ください。
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