トランクルーム経営の年間経費を解説。経費で落とせるものには何がある?
トランクルーム経営とは、個人向けに倉庫を貸し出して収益を得る投資方法です。
マンションや戸建て住宅による不動産投資に比べて少ない費用で始められるため、土地活用の手法として人気です。
今回は、トランクルーム投資の分類と運営手法、経費などのコストについて詳しく紹介します。経費には思わぬ落とし穴もあるので、これを機に確認しましょう。
目次
トランクルーム経営について
トランクルームには、土地にコンテナを設置する「屋外型」と、空きビルを倉庫に改装する「屋内型」があります。
「屋外型」のレンタルボックス
屋外型のトランクルーム(レンタルボックス)は、土地の上にコンテナを設置し、その中に荷物を保管するものが多いです。ロードサイドに多く見られるタイプで、大型の荷物の保管や自動車を使って荷物の出し入れをする利用方法がメインです。
土地のオーナーからすると、屋外型は土地にコンテナと照明などの最低限の設備だけ整えればよい点がメリットです。
利用者から見たメリットとしては、利用料金が安い点と、車を横付けし荷物の出し入れがしやすいという点が挙げられます。
月額料金の相場は地域により異なりますが、1帖あたり3,000円~6,000円程度で設定されるのが一般的です。
「屋内型」のトランクルーム
屋内型のトランクルームは、ビルなどの建物の中に部屋を設け、室内に荷物を保管します。古い商業ビルのワンフロアを改装し、トランクルームとして貸し出すケースが多いです。一般的に、徒歩でも利用できる商業エリアにあります。
建物のオーナーからすると、屋内型は借り手がつかないビルのワンフロアを有効活用できる点がメリットです。
利用者から見たメリットとしては、屋外型と比べてセキュリティが高い点や、空調が備わっていて荷物の品質を保つことができる点が挙げられます。
月額料金の相場は地域により異なりますが、1帖あたり5,000~15,000円程度と、屋外型より高価に設定されます。
トランクルームの運営方式
トランクルームを個人で運営するには様々なノウハウが必要なため、トランクルーム業者と契約を交わして運営するのが一般的です。
代表的な運営方式を3つ紹介します。
事業用定期借地(ローリスクローリターン)
事業用定期借地は、土地を更地のまま、トランクルーム業者へ借地する方式です。
オーナーは土地を使用する賃料を受け取るだけで、トランクルームに関する初期投資はすべて業者が行います。土地の拠出だけでよいのでオーナーにとってはローリスクですが、その分リターンも借地料のみで低い傾向があります。
リースバック(ミドルリスクミドルリターン)
リースバックは、業者からトランクルームを購入し、そのトランクルームをそのまま同じ業者へ賃貸借することで、毎月一定額の賃料を受け取る方式です。
トランクルームに関する初期投資はオーナーですが、その分毎月の賃料も事業用定期借地と比べ高くなります。
業務委託(ハイリスクハイリターン)
業務委託は、土地のオーナーが設備投資や経営を行い、自らではできない細かい業務のみ専門の管理業者に委託する方式です。
事業用定期借地とリースバックの運営主体は管理業者ですが、業務委託においてはオーナーが運営主体です。総売上から業者に支払う金額も含めた諸費用を除いた金額が、オーナーの取り分です。そのため、リターンが最も多いのがこの手法かもしれません。
トランクルーム経営にかかる費用
トランクルーム経営にかかる費用は、運営方式により負担者が異なります。
項目 | 費用負担者 | ||
業務委託 | リースバック | 定期借地 | |
トランクルームの初期投資 | オーナー | オーナー | 業者 |
土地の固定資産税 | オーナー | オーナー | オーナー |
トランクルームのメンテ費用 | オーナー | オーナー | 業者 |
光熱費 | オーナー | 契約内容による | 業者 |
運営全般にかかる費用(利用者の募集・契約・トラブル対応・料金回収・区画の清掃など) | 業者 | 業者 | 業者 |
盗難被害 | 業者 | 業者 | 業者 |
各種損害保険にかかる費用 | 契約内容による | 契約内容による | 業者 |
防犯対策にかかる費用 | 契約内容による | 契約内容による | 業者 |
初期費用
トランクルームの経営にかかる初期投資の内容は、コンテナの設置費用、水道・電気工事費、看板設置費、監視カメラ設置費などです。屋外型の場合は整地費用があります。
金額は物件の状況やパートナーとなる管理会社により異なりますが、目安の参考価格は以下のとおりです。
屋外型(円) ※50坪の土地に4基(約16部屋)設置する場合 |
屋内型(円) ※商業ビルのワンフロア(30坪)に設置する場合 |
|
工事費 | 400万 (コンテナ1基80万円+設置費) |
300万 (1坪10万円) |
水道・電気工事 | 30万 | 30万 |
看板代設置費 | 20万 | 20万 |
監視カメラ設置費 | 20万 | 20万 |
整地費用 | 50万(1坪10,000円) | - |
合計金額 | 約520万 | 約370万 |
実際の費用は、自身の土地で業者に相見積もりを取り、確認することをおすすめします。
経費
トランクルーム経営にかかるランニングコストには、固定資産税、管理料、光熱費、リスク対策費などがあります。いずれも事業の経費として計上できるので、必要経費をいかに計上するかが節税にも関わってきます。
倉庫業者以外が行うトランクルーム経営は、アパートやマンションの経営と同様に、利用者と賃貸借契約を締結します。そのため、トランクルームの賃料を得ることで発生する利益は、不動産所得として扱われ、課税の対象になります。
不動産所得は、以下のように計算します。
不動産所得=不動産総収入-必要経費
つまり、必要経費の計上が多いほど課税の対象が少なくなり、節税効果につながります。具体的に節税できるのは、不動産所得に対してかかる所得税と住民税となります。
トランクルーム経営の年間経費
トランクルームにかかる経費についてもう少し詳しく見ていきましょう。
固定資産税(年4回)
固定資産税は、どの運営方式でも発生します。金額は毎年税務署から送られてくる固定資産税通知書に記載されていますが、トランクルームの場合は空き家に比べて固定資産税が高くなるため注意が必要です。
居住用の建物があると、土地の固定資産税は1/3~1/5が軽減されます。建物を撤去しトランクルームを置いた場合、この軽減措置を受けられなくなるため、固定資産税額が最大で6倍に増えてしまいます。
収支シミュレーションにおいては、固定資産税の増額を織り込んでおくようにしましょう。
管理料(フランチャイズ料)
管理料は、業務委託方式の場合にのみ発生します。
トランクルームの運営管理会社に対して支払う毎月の管理料(フランチャイズ料)で、月の売上に対する歩合の方式が一般的です。その割合は会社により異なりますが、15~20%程度を管理料とする会社が多いです。
光熱費
基本的に、業務委託方式の場合にのみ光熱費は発生します。リースバック方式でも契約によっては発生する場合があります。
屋内型では空調設備などが加わるため光熱費が高めにかかります。そのため、設備が少ない屋外型の方が安い傾向です。
リスク対策費(防犯カメラ、家財保険、常駐スタッフの人件費など)
リスク対策費とは、事業運営のリスクに備えるための費用です。火災保険、地震保険、盗難に備えた損害保険、警備員を雇う場合はその人件費、その他の突発的なトラブルに対応するための費用です。
業務委託方式の場合にのみ発生します。
いずれの対策も任意ですが、昨今は防犯面を強化することで競争力を高めるトランクルームが増えています。そのため、周囲との差別化のために採用するのも一つの手といえるかもしれません。
トランクルーム経営は節税対策になる?
以前は、トランクルームに使用されるコンテナを「器具及び備品」として、減価償却による節税対策が行われることがありました。
減価償却とは、固定資産の耐用年数に応じて、資産の取得にかかった費用を毎年分割して経費として計上することです。「器具及び備品」の場合、大型コンテナであれば耐用年数が7年と決められているため、短期で減価償却できます。
しかし、昨今では、国税庁がこのトランクルームを利用した節税対策に対して、「建物」として修正申告を行わせる事例が発生しています。「建物」として扱われると、構造などにもよりますが、耐用年数が30年を超える場合もあり、長期間で減価償却されます。
トランクルームは、基本的に、短期償却は認められないものとして考えましょう。そのため現在は、節税目的でのトランクルーム経営はおすすめしません。
節税効果についての詳細は、税理士などの専門家に相談してみましょう。
関連記事:副業としてトランクルームはアリ?トランクルーム投資のポイントを紹介
トランクルームのご相談は加瀬倉庫まで
今回は、トランクルームの運営方式とかかる費用について紹介しました。
トランクルームは不動産投資と比べると利益が少ない傾向にありますが、初期投資・ランニングコストとも少なく始められるメリットがあります。
ただし、実際のトランクルーム経営にどのくらいの費用や経費がかかるのかは、所有している物件や土地の状態によって異なります。
トランクルーム経営に関する疑問・質問は、一度加瀬倉庫にご相談ください。
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