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農地活用の判断基準|転用のアイデアと使わずに放置するリスク

農地活用の判断基準

相続や後継者不足などの理由から、農地の活用を検討する方が増えてきています。しかし、売却・賃貸・転用といった選択を誤ると、税負担や維持費が増えるリスクがあるため慎重に判断しなくてはいけません。

適切な農地活用は、地域貢献だけでなく安定した収入の確保につながります。農地の性質と法的な制約を正しく理解するために、農地の基本的な知識や活用アイデアを紹介します。

 

農地活用するときの基本的な考え方

農地を活用するには現状を正しく把握し、目的に合った方法を選ぶことが基本です。
まず、農地を活用する前に知っておくべき基礎的な情報について、分かりやすく解説します。

農地とは?

農地法における「農地」の定義は、単なる地目上の分類ではなく、「耕作の目的に供されている土地」かどうかで決まります。

耕作とは、人が労力や資本を投じて、整地や種まき、灌漑(人工的に水をひいて農作物を育てる方法)、除草といった適切な管理を行って作物を育てることです。そのため、土地を耕して野菜や穀物を栽培する土地だけでなく、果樹園やはす池なども、人の手で管理されていれば農地として扱われます。

重要なのは、登記簿上の「田」や「畑」という記載よりも、「現況(実際の利用状況)」と「継続的な耕作の意思」が優先される点です。所有している土地が農地に該当するか判断に迷ったときは、管轄の市区町村にある農業委員会へ相談するとよいでしょう。

参考:国税庁|土地の地目の判定-農地

農地の種類

農地は主に4つの種類に区分されています。以下は、区分の特徴を分かりやすくまとめたものです。

【農地区分】

  •  甲種農地:市街化調整区域内にあり、農業公共投資が行われるなど特に営農条件が良好な農地
  •  第一種農地:10ha以上の集団農地、農業公共投資の対象、優良農地
  •  第二種農地:生産力が低く市街化する可能性がある農地
  •  第三種農地:都市的整備がされた区域内の農地、市街地内の農地

甲種農地と第一種農地は、農地としての生産性が高く公共投資もされていることから、原則として農地転用は認められていません。農地の区分は優良な農地を保護し、食料の供給を支えるという観点からも重要な制度です。

農地を活用する前に確認すべき項目

農地を農地以外の用途で活用する場合は、事前の現状把握が重要です。

まずは、自分の土地がどのような状況にあるか、以下のポイントを確認してみましょう。

  • 所有する農地が転用可能な区分か
  • 土地の地目と都市計画区域の該当状況
  • 転用後の具体的な活用方法(住宅、駐車場、資材置き場など)
  • 土地の面積・形状・接道状況

最も重要なのが、所有する農地が法的に転用できる場所かという点です。中には、「農用地区域内」として、長期間にわたって農業利用を維持・確保することを目的とした区域も存在します。

そのような土地は、原則として農業以外の用途への転用に制限がかけられています。また、その土地が市街化区域にあれば届出だけで済みますが、市街化調整区域にある場合は転用するために許可申請が必要です。

次に、農地の活用目的を明確にします。住宅を建てるのか、駐車場として貸し出すのかによって、満たすべき許可基準が異なるからです。

あわせて、土地の形状や道路に接しているか(接道状況)といった物理的な条件も確認しておきましょう。これらは建築基準法などの法令にも関わるため、事前に把握しておくことで、その後の手続きや計画をスムーズに進められます。

 

農地活用の転用アイデアと転用以外のアイデア

農地活用の転用アイデア

農地活用というと転用を前提に考えがちですが、必ずしも転用を行う必要はありません。農地を活用する際に、転用した場合と転用しない場合のアイデアをそれぞれ紹介します。

農地を転用して活用する方法

農地を転用することで、土地の資産価値を引き出し、さまざまな運用が可能になります。主な活用アイデアは以下のとおりです。

  • アパート・マンション経営
  • トランクルーム経営
  • 資材置き場としての利用
  • 高齢者向け施設の建設・運営
  • 駐車場経営

住宅需要が見込めるエリアであれば賃貸経営が有力ですが、多額の建築費や空室リスクが伴うため、入念な事業計画が欠かせません。

初期費用を抑えて手軽に始めたい場合は、駐車場や資材置き場としての活用が現実的です。特別な建物がいらない分、アパート経営などよりも初期費用が安く、将来的な用途変更もしやすいというメリットもあります。

農地活用を成功させるポイントは、その土地のニーズを見極めることです。周囲の環境に合わせて最適な計画を立てるようにしましょう。

農地を転用せずに活用する方法

農地としての性質を維持したまま、転用せずに生かす選択肢も増えています。代表的な方法は以下のとおりです。

  • 農地バンク(農地中間管理機構)を介して貸し出す
  • 近隣の農業従事者や地域住民に直接貸し出す
  • 市民農園を開設する
  • 農業体験・体験型農園として運営する
  • 営農型太陽光発電(ソーラーシェアリング)を導入する

なかでも、農地バンクなどを通じて担い手に貸し出す方法は、農地を適切に管理しながら活用できる代表的な選択肢です。そのため、次の章で詳しく解説します。

最近は、市民農園や農業体験の場として開放し、地域交流の拠点にするケースも増えています。農地に支柱を立ててパネルを設置する営農型太陽光発電では、農業を続けながら売電収入を得ることも可能です。

いずれの方法も農地の荒廃を防ぎつつ、新たな価値を生み出す有効な手段といえます。

農地バンクを利用して人に貸す

農地を転用せずに活用する方法として代表的なのが、農地バンクを利用して人に貸すことです。

農地バンクとは、都道府県知事から指定を受けた「農地中間管理機構」が運営する、農地の公的な仲介サービスを指します。簡単に言えば、農地を貸したい人と借りたい人の間に公的機関が入り、スムーズな貸し借りをつなぐ仕組みのことです。

所有者は、借り手を探す手間や、個別の賃料交渉、契約トラブルの心配がないことで、安心して農地を託せます。さらに、収益性は高くないものの、土地を維持しながら一定の賃料収入を得られます。

令和5年の法改正により、地域計画の策定が進められています。これにより、所有者不明の土地や放置された遊休農地なども、この仕組みを通じて有効に活用できる道が広がりました。

農地バンクを活用することで、農地を「負動産」にせず、地域の農業資源として次世代へつなげることができるのです。

 

農地活用せずに放置した場合に起こるリスク

農地活用せずに放置するリスク

農地を放置すると、税負担の増加や景観・衛生環境の悪化、再利用時のコスト増など、さまざまなリスクが生じます。土地を長期間放置した場合のリスクについて、事前に理解しておきましょう。

税金の軽減措置が適用されなくなる

農地を特に耕作することなく放置し続けると、自治体から「遊休農地」と判断されるおそれがあります。遊休農地と判断されると、それまで受けていた税金の優遇措置が受けられなくなります。

平成29年度の税制改正により、遊休農地に対する固定資産税の算出方法が厳格化されました。そのため、税負担が通常の約1.8倍に増加する点には注意が必要です。

通常の農地であれば、固定資産税評価額に0.55の補正率を乗じて算出されますが、放置された農地はこの係数が適用されません。つまり、農地を耕作せず放置すると遊休農地と見なされ、同じ土地でも固定資産税の負担が大きくなります。

参考:農林水産省|遊休農地の課税の強化

再利用する際のコストが増加する

農地を長期間放置してしまうと、いざ活用しようと思った時に、想像以上の復旧費用がかかる可能性があります。

放置された土地はまたたく間に雑草や低木に覆われ、害虫や野生動物のすみかとなることも少なくありません。再び農地や宅地として使える状態に戻すには、大規模な草刈りだけでなく、根の掘り起こし(抜根)や整地が必要になり、業者に依頼すれば多額の費用が発生します。

また、管理されていない土地は、粗大ゴミや産業廃棄物の不法投棄を招きやすくなります。捨てられたゴミの撤去費用は不法投棄者が不明の場合は、土地の所有者が負担しなければならない点も注意が必要です。

農地が荒れ果てて景観が損なわれる

農地を放置して管理を怠ることは、自分だけの問題ではなく、地域全体の住環境を損なう原因となる場合があります。

雑草は背丈を超えるほどに伸びる種類もあるため、地域の美観を損なうだけでなく、蚊やハエ、さらにはネズミ、イノシシなど野生動物の格好の隠れ家になります。近隣の住宅地や他の農地にまで被害が広がると、所有者への苦情を招きかねません。

さらに、伸び放題になった雑草や枝が隣接する道路にはみ出していると、交通事故の誘発や歩行の妨げとなる点にも気をつけましょう。

 

農地活用は加瀬ホールディングスにお任せください!

農地活用は、転用して収益化する方法だけでなく、転用せずに農地として生かす選択肢もあります。重要なのは、土地の区分や法的制限、立地条件を正しく把握したうえで、自分の状況に合った活用方法を選ぶことです。

活用することなく放置してしまうと、税負担の増加や管理コストの発生など、思わぬリスクにつながるおそれもあります。

農地を活用するかどうかの判断で悩んでいる場合は、まず専門家へ相談してみましょう。農地活用は、実績豊富な加瀬ホールディングスにお任せください。土地の状況や希望条件を丁寧にヒアリングし、転用を含めた最適なプランをご提案します。まずはお気軽にご相談ください。

 

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加瀬グループ編集部
加瀬グループ編集部
加瀬グループは、1973年 株式会社加瀬運輸の設立からはじまり、50年以上にわたり地域に密着した事業を展開しています。
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