「農地転用は儲かる」は本当!?利益を得る方法・手続きと注意点

農地転用による土地活用は、使わなくなった農地を太陽光発電やトランクルームなどに活かす方法のことで、収益を生む手段として注目が集まっています。
具体的にどのような活用方法があるのか、その方法や農地転用で儲ける仕組み、必要な手続きを解説します。
目次
農地転用で儲ける方法
農地転用は、耕作放棄地や低利用農地を新たな収益源に変える有効な手段です。太陽光発電、賃貸住宅、高齢者施設など、多様な活用法で安定した長期収益を目指せます。
はじめに、農地転用で儲ける方法について見ていきましょう。なお、どの方法も原則、農地転用許可が必要です。
太陽光用地
農地転用で儲ける方法の1つに、太陽光発電用地への転用があります。管理が難しく耕作放棄地になりがちな農地や、農機具が使えず耕作が困難な傾斜地の農地を転用すると土地を有効活用でき、長期的に安定した売電収入を期待できるでしょう。
特に日当たりのよい農地の所有者に適しています。
出力が10kW以上の太陽光発電は主に事業者向けで、買取期間は20年間と長期です。一方、一般住宅に多く設置される10kW未満のシステムでは、買取期間は10年間です。農地転用で収益化を目指す場合、20年間の固定価格買取が適用される10kW以上の設備の方が、有利な選択肢となるでしょう。
賃貸住宅
農地を宅地に変えてアパートやマンションを建てるのは、土地を有効に活用しながら高い収益を得られる有力な選択肢の1つです。建物が完成すれば、家賃収入という形で安定した収入を得られます。長期的な資産運用をしたい人向きです。
とはいえ建設費用がかなり高額になるため、大きな初期投資の負担は避けられません。また、地域の需要によっては空室が出てしまうリスクもあるため、計画は極めて慎重に進める必要があります。
宅地にするためにクリアすべき、重要な条件は以下のとおりです。
- 電気、上下水道などの生活に必要なインフラが整備できる
- 建物が建築基準法を満たすように敷地が道路に接している
- 都市計画法上、住宅を建ててよいエリア(例えば市街化区域)に指定されている
こうした条件やリスクをしっかりと見極めて準備すれば、賃貸住宅の経営は安定した収益を確保できる可能性があります。
高齢者施設
農地を転用して高齢者施設を建設する方法も、安定した需要を背景に高収益を狙える活用方法です。自ら経営するか、介護事業者に貸し出して賃料収入を得る形式があります。
少子高齢化が進む日本では今後も施設の需要が続き、立地条件も住宅ほど厳しくないため、農地の活用に適したケースも多いです。
初期費用こそ高額ですが、補助金を活用できます。
トランクルーム経営
物置型のトランクルームを経営する方法も、有効な収益化手段として注目されています。特に空調や電気設備が不要な簡易型の物置型トランクルームであれば、初期費用を抑えることができ、郊外でも安定した需要が見込めます。
トランクルーム事業は確実に市場があるという点が強みです。住宅の収納不足やリモートワークの普及による空間確保の需要などから、国内のレンタル収納市場は2027年度には730億円を超えると予測されています。
※矢野経済研究所が2023年に発表「レンタル収納市場に関する調査」より
設置スペースの確保や建築基準法などの条件をクリアする必要こそあるものの、農地の新たな活用先として十分な収益化が期待できます。
日々の管理に手間をかけたくない人や、初期費用を抑えたい人に向いています。
農地転用に必要な手続き

農地転用手続きは、土地の所在地(市街化区域か調整区域か)で大きく変わります。許可が不要な場合もありますが、複雑な法規制や農振除外、土地改良区の手続きなどが必要な場合もあるため、綿密な準備が欠かせません。
ここでは、農地転用に必要な手続きについて解説します。
市街化区域の場合
農地が都市計画法上の市街化区域内にある場合、転用手続きは大きく簡略化されます。市街化区域は「優先的かつ計画的に市街化を図る区域」と定められているため、原則として農地法に基づく都道府県知事などの許可は必要ありません。
といっても手続きなしで転用できるわけではなく、転用事業を開始する前には必ず土地の所在、転用目的、工事計画などを記載した届出を農業委員会に対して行うことが義務付けられています。この届出により、農業委員会が農地の利用状況を把握できます。
ただし、同じ市街化区域内でも生産緑地に指定されている場合は、原則として宅地等への転用や自由な売却・賃貸はできません(都市計画や生産緑地制度に基づく手続きにより解除される場合を除く)。転用する際には指定解除の手続きをしてから行うことが必要です。
市街化調整区域
農地が市街化調整区域にある場合、そのまま転用するのは簡単ではありません。原則、市街化調整区域の農地転用は都道府県知事の許可が必要です。優良な農地を守り、無秩序な開発を防ぐために行います。
市街化調整区域ではそもそも建物を建てること自体が難しく、農地転用の許可に加えて、開発行為の許可も取らなければなりません。農地転用と開発行為は同時に申請・許可される必要があります。
さらに、土地が農業振興地域(農振地域)に指定されている場合は、まず農振除外の手続きに入ります。農振除外の手続きは自治体や受付時期によって異なりますが、数か月から半年以上を要するケースも多く、審査も厳しいのが実情です。
また、土地が土地改良区の管理下にある場合、農業委員会に土地改良区の意見書を提出する必要も生じます。市街化調整区域内での農地転用は手間も時間もかかるため、経験のある専門家に相談しながら進めるのが安心です。
農地転用で土地活用をする注意点

農地転用は土地の都市計画区域や地目、農地区分によって転用可否や手続きが大きく異なります。市街化調整区域では許可や開発行為の手続きが必須となり、登記簿上の地目確認も重要です。
ここでは、農地転用で土地活用をする際の注意点について解説します。
転用できる農地とできない農地がある
農地転用ができるかどうかは、その土地が属する都市計画区域によって大きく左右されます。都市計画区域は、主に市街化区域と市街化調整区域に大別されます。
市街化区域内の農地は今後開発が進むエリアにあるため、農業委員会への届出(または許可)で比較的転用しやすいのが特徴です。
一方、市街化調整区域は無秩序な開発を防ぐためのエリアであり、転用は原則として厳しく制限されます。特にこの区域内にある青地農地(農用地区域内)は原則として転用が禁止されており、農用地利用計画の変更(いわゆる農振除外)が認められる一部の例外を除き、転用は極めて困難です。
ただし、同じ市街化調整区域内でも、白地農地(農振地域外の農地)であれば、駐車場や資材置き場などへの転用許可を得られる可能性があります。土地の分類を正確に把握して、転用計画を立てましょう。
雑種地の場合、転用の許可が必要ない
農地転用とは、農地を農地以外の用途(宅地や駐車場など)に変える手続きを指します。
土地の登記簿上の地目が雑種地であれば、すでに農地ではないため農地転用許可は不要です。そのため、建物を建築する際の手続きが簡略化されます。
しかし、注意すべき重要な点があります。まず見た目が雑種地であっても、登記簿上の地目が農地のままであれば、農地転用許可は必須です。この判断は農業委員会で確認できます。農地かどうかの判断は現況や農業委員会の判断も関わるため、不明な場合は事前に農業委員会へ確認しておくと安心です。
農地転用の活用は加瀬グループへ相談できます
農地転用による土地活用は、使わなくなった農地を太陽光発電や賃貸住宅、高齢者施設、トランクルームなどに活かし、収益を生む手段として注目されています。放置されがちな農地でも、上手に活用すれば安定した収入につながる可能性があるでしょう。
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